コメと自動車、日米反対勢力が抵抗 TPP妥結後を見越す動きも

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牛肉・豚肉は、関税が引き下げられ、国産肉の価格も低下しそうだ。牛肉は関税38.5%を15年程度かけて9%まで下げる方向で調整されているもよう。日本産牛肉のかなりの部分はすでに高級ブランドとして地位を獲得しており、影響は限定的と見る向きもある。

一方、豚肉の生産者には、かなり打撃になるとの予想が出ている。豚肉は安い肉に対する1キロあたり482円の関税を10年程度かけ50円程度に引き下げる方向で交渉されている。

国産豚肉に占める「銘柄豚」は3割に過ぎず、残り7割は国内価格の4割程度の価格で豚肉が輸入されることによって、養豚業者の打撃が大きくなると予想されている。日本養豚協会の志澤勝会長はロイターのインタビューで「半数くらいの養豚業者が、廃業に追い込まれるのではないか」と述べた。

自動車業界への影響は軽微

米国側の重要品目になっているのが、自動車・自動車部品。日本が関税の即時撤廃を求めているが、自動車労組の圧力を受けるオバマ政権は、撤廃時期の先延ばしを図る。

ただ、自動車業界へのプラス効果は軽微との見方が大勢だ。部品の関税撤廃(大半が2.5%)は日本勢にとって歓迎されるが、部品も含め完成車の現地生産が主流となっている中、輸出の大幅増は考えにくい。

撤廃分が単純に利益に結び付くよりも、為替変動リスクや品質問題などに備えたコスト吸収余地と捉える向きも多い。

日本は米国に対して輸出額の多い部品を中心に関税撤廃を求めている。米国が自動車本体に課している関税(乗用車2.5%、トラック25%)は事前協議で、妥結した全品目の最長期間での撤廃が決まっており、実際には10年超の長期間かけて撤廃となる見込み。

日米間の「コメと自動車」の関税交渉について、キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹の山下一仁氏は、コメの輸入枠拡大と自動車の関税撤廃は、ともに両国経済にそれほど大きな影響はないと指摘。「日本は農産物の関税をゼロにするかわりに自動車も即時撤廃、という交渉をしたほうがよかった」との見方を示した。

同氏はTPP交渉自体について「最初は野心的な21世紀型の協定を作るはずだったが、保護主義的な反対勢力によって日米とも後退し、レベルの低い協定になってしまった」と批判している。

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