中国株の大暴落は、これから本格的に始まる 今知っておくべき、中国経済の真相

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さて、世の中にはおめでたい人がいるものだ。つい最近発表された2015年第2四半期のGDP成長率が第1四半期と変わらずの+7.0%だったのを根拠に、「中国経済はまだかなり高い成長率を確保しているのだから、株価は暴落しても経済全体の健全性にはほとんど影響はない」などとコメントしている経済評論家もいる。

中国の成長率は「お化粧」されている

だが、そもそも中国政府の公表する経済統計は、入念にマッサージされ、メーキャップを施して素顔とは別人のように美化された代物なのだ。その政府公表数値でさえ、「何がなんでも守り抜く」と公言した7%成長をギリギリ確保しただけということは、正直なデータを見ればマイナス成長になっている可能性が高い。

前出のグラフ下段には2012年10月~2015年6月の中国製造業生産高の前年同月比変化率と、中国のコンテナ貨物輸送量が対比してある。製造業生産高は、2013年末まではほぼ一貫して2ケタ成長だったものが、今年の3月に6%割れで底を打ってから、直近では6.8%成長にまで挽回したことになっている。だが、これもまたかなり厚化粧をした数字だろう。

比較的ごまかす余地の少ないコンテナ輸送量指数のほうは、2013年の1100台から、直近では800台をかろうじて維持するまでに下がっているが、特に3月以降になって下落率が加速している。

中国の実体経済の成長率鈍化は、ひょっとするとすでにマイナス成長まで深刻化しているかもしれないという事実が世界経済におよぼす影響は、甚大だ。次の2枚組グラフをご覧いただきたい。

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出所:ウェブサイト『Zero Hedge』、2015年7月6日のエントリーより

上段は、中国の製造業生産高の前年同月比変化率と、国際商品市場における原油価格の前年同期比変化率を対比したグラフだ。一目瞭然と言うべき明瞭さで、2000年代半ば以降の原油価格は、中国の製造業成長率が高ければ上がり、鈍化すれば下がるという相関性があったことがわかる。

中国製造業の成長率によって原油需要は左右されてきた

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いまだに広く認知されていないが、1990~2000年代にかけて、世界中の先進諸国でかなり顕著な経済の省エネ化が進んできた。その結果、過去10年ほどの期間を見れば経済大国でエネルギー消費量が増えていたのは中国だけであって、その他諸国では横ばいから減少にとどまっていた。だから、中国製造業の成長率が高ければ、世界市場での原油の需要が拡大し価格も上がるが、中国製造業の成長率が低いと世界市場での原油需要は縮小して価格も下がるというパターンが確立されていたのだ。

原油価格の動向を点検すると、このグラフで対象とした2005年後半から2015年前半までの全期間にわたって中国製造業生産高の成長率に寄り添うように上下している。つまり、現代世界における原油価格は、中国製造業の成長率が11~12%台を維持できれば値上がりし、10%台まで下がれば値下がりするのだ。

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