改めて考えれば、こうしたさまざまなアプローチの存在自体が実に理に適っている。愛する夫を航空機事故で亡くした妻が、その数年後に再婚しても、それが最初の夫を悼む気持ちを失ったことを意味するわけではない。
人が不倫する場合は、たいてい古い関係を清算する前に新たな関係を始めている。子どもを持つあなたが再婚を前提に、これから配偶者と離婚しようとする場合、離婚が成立すれば、そこから新たなスタートが切れると思うかもしれない。
だがその先も、親権、金銭、子育てにおける意思決定などについて、元の配偶者と交渉するのに(つまり「面倒な中間期」に)かなりの時間を費やすだろう。
各段階がきれいに始まり、きれいに終わるなどというのは、ほとんどまれなことだ。誰もがそれぞれに異なるパターンでその3つの局面に出入りするというのが、ごく普通のあり方なのだ。
どんな局面を得意とするか?
では、人々がどの局面をどんな順番で経験するのかは、何によって決まるのだろう?
私はインタビューから、概して人は、3つのなかのある局面における対処は非常に上手だが、別の局面における対処は苦手であると知った。
私たちの研究によれば、人は元来、得意とする局面には引き寄せられ、最も苦手な局面では足を取られるとわかった。
「長い別れ」に抵抗を感じなければ、すぐにそれを片づけ、次の問題へ進んでいけるかもしれない。だが、あなたが対立を嫌い、人を失望させたくないと願うタイプなら、必要以上に長く、有害な状況に留まり続ける可能性があるだろう。
同じことは「面倒な中間期」にも当てはまる。カオスのなかでこそ力強さが発揮できる人もいれば、カオスのなかで立ちすくんでしまう人もいる。
「新たな始まり」に関しては、その新鮮さを喜んで受け入れる人もいれば、それを恐れる人、つまり物事が変わらずにそのままでいてくれるのが好きな人もいる。
局面ごとにそれを嫌いと感じる人の割合には驚いた。私は被験者全員に、3つの局面のうち、どれが最も難しいと思ったか尋ねてみた。ほとんどが「面倒な中間期」を挙げるに違いないという私の予想は大きく外れた。
たしかに「面倒な中間期」が難しいと答えた人は全体の47パーセントを占めたが、「長い別れ」が一番大変だったと答えた人も39パーセント(それほど大きな差ではない)いたのである。そして残りの14パーセントが「新たな始まり」を挙げていた。
これらのデータは、表面的には、人生の大きな変化を切り抜けるためのこうした3段階すべてが困難であることを想起させる。