サイゼ株主優待廃止を歓迎した投資家の意識変化 一部投資家のパニック売りを吸収して株価は急反発
一方、2022年から上場維持基準が変更になり、上場企業は株主数を増やす必要に迫られました。プライム市場800人以上、スタンダード市場400人以上、グロース市場150人以上という基準を満たすために、新たに株主優待制度を導入する企業が増えました。
このように、現在は、株主優待制度の廃止を求める外国の機関投資家と新設・継続を求める国内の個人株主・投資家がせめぎ合う状態になっています。
一部の業種にとって株主優待は一定の合理性
今回、サイゼリヤは、「株主の皆様への公平な利益還元のあり方という観点から、慎重に協議した結果、配当による利益還元に集約することが適切であると判断し、株主優待制度を廃止することといたしました」と廃止の理由を説明しています。株主平等原則を意識しているようです。
では今後、同社に追随して株主優待制度を廃止する動きが出てくるのでしょうか。ここで、業種を分けて考える必要があります。小売業・外食チェーン・消費財メーカーは、株主優待制度によって株主数を増やすだけでなく、自社のサービス・製品を個人株主に利用してもらうことで自社のファンを増やすことができます。こうした業種では、株主優待制度には企業価値を高める効果があると言えます。
だからといって、現在の株主優待制度をそのまま継続していいということではありません。自社店舗で利用できない株主への対応など株主平等原則への配慮が必要ですし、制度が企業価値を向上させることを丁寧に株主(とくに機関投資家)に説明する必要があります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら