四季報を配ると、なぜ日本のGDPが上がるのか 若手ベンチャーキャピタリストの確信とは?

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ーーベンチャーキャピタルの社員であれば、四季報を読んでいる人はそれなりに多い?

もちろん四季報を読んだり、適時開示を読み続けてらっしゃる方もいますが、多いわけではありません。自分自身は学生インターンをはじめとして、新卒数年目くらいの、世代が近い人たちと会うことが多いのですが、そうした中で痛感したのは、多くの人が会社四季報は知っていてもちゃんと読んでいるわけではないということ。それもあってか、日本の上場企業についてあまり知識を持っていない方もいる、ということでした。

ーー読んでいない人が多くても仕方がないと思うのが普通の感覚だと思います。でも、そうは思わなかったわけですね。

これはまずいことだと思いました。VCが上場企業についての知識を持っていなければ、起業家とミーティングするときに時間を割いて良かったと思っていただけるような良い情報を伝えることができない。最近の生きた情報をキャッチアップしていなければ、良い情報どころか間違ったことを言ってしまうかもしれない。こうなると起業家にはマイナスですし、VCにとっても投資先の成長につながらず、投資リターンが出づらくなって良くない。ひいては日本経済にとっても良くないことじゃないですか。

「四季報を知っているけれども読んだことがない人」が多い(撮影:尾形文繁)

これは改善すべきことだと思いました。じゃあとりあえず四季報を配ってみれば、配らなかった場合と比較すれば少なくとも1円でもGDPが伸びるだろうと思うようになりました。

新しい事業を生み出す参考に

聞きかじったアイデアで起業するより、確立されたビジネスの宝庫である四季報を読み込んでアイデアのタネを探したり、時代にマッチしたアイデアに昇華させたほうが成功する確率は高いと思います。そうして生まれた新しい事業のいずれかが成功を収めて、日本のGDPを引き上げることにつながる。これは何も起業家に限らず、会社に勤めていらっしゃる方々にも当てはまることです。

孫正義さんをはじめとした稀代の起業家たちは、多くの場合、徹底的なリサーチを経てから事業を立ち上げています。孫さんに至っては、1981年に日本ソフトバンク(現在のソフトバンク・グループ)を起業する前に、どのような事業を行うのかのリサーチに1年ほど費やしたというエピソードがあるほどです。

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