株価混乱でも中国新興企業はヒートアップ

無名のスタートアップにVCの投資が殺到

中国最大のライドシェアリングアプリ企業「Didi Kuaidi(ディディ快的/嘀嘀快的)」は7月7日、株価がもっとも下がった時期に2週間で20億ドルを調達したことを明らかにした。目標は15億ドルだったが、投資家の関心はかなり高く、5億ドル上乗せすることができた。

グーグル大中華区の元総裁で、現在はITインキュベーター「イノベーション・ワークス(創新工場)」のCEOを務める李開復は、株式市場の下落で一時的な反動はあるとしても、大型投資がなくなることはないだろうと語る。企業の評価額は少々下がるかもしれないが、投資の低迷の衝撃は、アメリカからの投資が和らげるという。さらに、アリババ・グループ(阿里巴巴集団)をはじめ中国の最大手のIT企業はアメリカで上場している。

「大手ファンドには、まだ数多くのベンチャーキャピタルがある。優秀なIT企業は今後も、ふさわしい企業評価を求めることができるだろう」

市場規模の大きさが投資家たちの熱視線を集める

中国とインドはそれぞれ世界最大規模のスマートフォン市場を擁し、投資家は市場の大手プレーヤーに熱い視線を注いでいる。一方で、中国の電子機器のサプライチェーンを活用して、センサーや、ドローンなどの最新機器を生産している小規模なメーカーも注目を集めている。IT業界のなかでもこれらの領域は、パワープレイヤー(すなわち、アップルとグーグルとマイクロソフト)にまだ支配されていない。

「グローバルに展開しているプラットフォーム企業のなかには2、3の例外もあるが、投資機会の大半は分割されている」と、中国の大手旅行検索サイト「Qunar.com(チューナー)」の創業者で投資家のフリッツ・デモパウロスは言う。「中国、インド、インドネシアのスタートアップは、それぞれの国内市場でチャンスを活かすために資金を調達する」

中国のテクノロジー市場は、国内の熾烈な競争と、検閲、さらに外国のインターネット企業を締め出す政策によって、国際競争から守られている。とはいえ、中国政府のフィルタリングも、国内外の投資家から流入するカネは止められない。

中国育ちのインターネット大手、百度(バイドゥ)、阿里巴巴(アリババ)、騰訊控股(テンセント)はいずれも、インターネット企業の時価総額で世界トップ10に名を連ね、大型投資の先頭を切っている。3社ともこの2年間に数十億ドルの戦略的投資を行っており、中国国内で自社のコアビジネスを補完するような小規模企業を買収している。

中国で行われる1億ドル以上の資金調達に参加する中国人投資家は、アメリカ人投資家の2倍にのぼる。この資金に助けられて、多くのスタートアップの企業評価額が10億ドルを超えている。いわゆるユニコーン(評価額が推定10億ドルを超える非上場のIT系スタートアップ)の仲間入りだ。CBインサイツによると、2014年に民間投資によって生まれたユニコーンはアジアで13社、北米で30社。今年は現段階で、アジアが11社、北米が19社となっている。

「SOSベンチャーズ」のパートナーで、ソフトウエアのスタートアップへの投資と助言を行う「チャイナアクセラレーター」の代表取締役を務めるウィリアム・バオ・ビーンは次のように語る。

「eコマースとシェアリング・エコノミーの業界は今後大きく成長しそうだ。大企業になるために、今のうちから資金をかき集めている」

(執筆:PAUL MOZUR、翻訳:矢羽野薫)

© 2015 New York Times News Service

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