「5割できればOK」92歳シスターの"納得の境地" 「あきらめる」ことで人生が好転することもある

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とはいえ、いくら非建設的とわかっていても「不安」から抜け出すのは難しいもの。「不安」を乗り越えるためには、逆説的なようですが、考えられる限りの「最悪の事態」を思い浮かべてみてください。

たとえば取引先を怒らせて、契約が打ち切りになった場合を考えたとします。おそらく上司はあなたを叱るでしょうし、社内での評価も下がるかもしれません。ですが、人事異動やクビにまでつながるとは考えにくいものです。

あなたの忙しい日常は「続いていく」はず

取引先とはもう会うことはないかもしれませんが、あなたの忙しい日常は続くはずです。数カ月もすれば、取引先を怒らせた事実などみな忘れているでしょうし、もしかすると、そのエピソードが笑い話や武勇伝に変わっていることさえありえます。

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最悪の事態といっても「さほどのダメージではない」とわかれば、気分はラクになります。

こう書くと、少々楽観的すぎると思われるかもしれません。ですが、やるべきことをやったあとで「仕方がない」とあきらめることは、実は大切なことなのです。これも、先ほどの項で申し上げた「聖なるあきらめ」です。

たとえば「大災害がくるかもしれない」と不安になったからといって、毎日家に閉じこもってはいられません。

防災用品を備えたり、家族と緊急時の連絡の取り合い方を確認したり、対策を講じたあとは、日々のそれぞれの仕事をこなしていかなければならないでしょう。

人間は、放っておくと、えてして不安な気持ちへと引きずられてしまうものです。「人事を尽くして天命を待つ」という言葉を心に留めてください。そして、最悪の状況を冷静に考えてみましょう。「それほど大ごとではない」と心が落ち着くはずです。

鈴木 秀子 「聖心会」シスター

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すずき ひでこ / Hideko Suzuki

東京大学人文科学研究科博士課程修了。文学博士。フランス、イタリアに留学。スタンフォード大学で教鞭をとる。聖心女子大学教授(日本近代文学)を経て、国際コミュニオン学会名誉会長。聖心女子大学キリスト教文化研究所研究員・聖心会会員。長年にわたり、全国および海外で講演活動を行い、 多くの相談を受けてきた。著書に、44万部突破の『9つの性格 エニアグラムで見つかる「本当の自分」と最良の人間関係』のほか、『あなたは、あなたのままでいてください。』、『今、目の前のことに心を込めなさい』、『自分の花を精いっぱい咲かせる生き方』など多数。

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