一方、女性が得意なのは喫茶店でのおしゃべりです。
そもそも前提として「話す」という行為そのものに価値を見いだしているので、筋道や論理なんてお構いなし。思いついたことを思いついたときに共有したい。だから話がかみ合っていないことなど気になりません。時として話はあちこちに飛躍しますが、かと思うと驚くようなタイミングで本論に戻ってきたりと、自由自在です。
女性は「話す」という行為に価値を見いだす
タイムスケジュールにしても、同じ話が何度でも繰り返されるので、2時間でも3時間でも平気で話していられます。お互いがひとしきりしゃべって満足したところで「そろそろ、行こうか?」と解散。これが基本です。
ですから、話の途中で「で、結局何が言いたいの?」などと突っ込まれると驚いてしまいます。別に言いたいことなんてないし、ただ感じたことをつれづれなるままに話したい、できれば共感して欲しい。これが彼女たちの願い。話を上手にまとめられたり、アドバイスされたりすると「もっと話していたいのに……」とストレスをためることに。
と、ここまで読んで「そうそう、こういう話し方をされるとほんと弱っちゃうんだよなー」と侮るなかれ。このコミュニケーションにこそ、冒頭で挙げたような場面でのスピーチが上達するヒントが隠されています。ちょっとした挨拶やパーティでのスピーチは、言ってみれば「男性的なプレゼン」と「女性的なおしゃべり」の中間に位置するコミュニケーションでしょう。
目的をもった論理的な説得でもなければ、時間無制限の雑談でもない。聞いている人の共感をそこそこ得る必要があるけれど、いつまでもダラダラと話しているのも不作法。だからこそ多くの人がちょうどいい加減がわからず「スピーチは苦手」とこぼすのです。
さらに言えば、聞いている側の男女構成比もポイントとなります。聴衆が男性ばかりであれば、堅苦しいお決まりのあいさつでも逃げ切れますが、女性が多い場合は、「最近、気になることありましたか?」といったアイスブレイクが欠かせません。それが男女半々となると、それぞれの期待に応えなくてはならない。男性・女性が入り交じり、さまざまな関係性の人が混在する「結婚式のスピーチ」が特に難しいのはそのためです。
話したいことやテーマの大筋は決めておくけれど、演出については、筋道の通ったプレゼン、共感をベースとしたおしゃべり、どちらでも対応できるようにしておく。そして、目の前の聴衆が求めているベストバランスを探りながら臨機応変に対応することこそが、スピーチの極意と言えるでしょう。
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