日本は、中国ガス田開発に対抗できない 残念ながら日本の反論は間違っている

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また、プラットホームを軍事的脅威と主張するにも無理がある。「海洋プラットホームにレーダーや、潜水艦を探すためのソナーを取り付けられれば、日本の安全保障での脅威となる」といった主張はおかしい。

レーダーやソナーは、すでに軍艦や航空機で使用されている。中間線日本側でも、琉球列島間の公海部分でも、レーダーやソナーを付けた中国軍艦や航空機は自由に行動している。逆に海自も大陸側で同様に行動している。

極端な話、プラットホームの脇に軍艦が漂泊し、レーダーやソナーを使っていても文句はつけないし、つけられない。それなのに、海洋プラットホームに取り付けたレーダーやソナーに文句をつけられるだろうか。

そもそも、レーダーやソナーは大した脅威でもない。レーダーでは基本的に水平線までしか探知できない。艦船を監視できる範囲は50キロメートル程度の距離が限界である。また、ソナーにしても機械騒音等から、理想とは程遠い配置場所である。実際、米海軍SOSUS等の固定式ソナーについても、単独で静寂な海底に設置されている。

そしてなにより、戦時には容易に破壊できる。この点で、あまり脅威にはならない。

できることは監視と嫌がらせ

不愉快であるが、海上プラットホームについては何もできないということだ。実務家である外務省や防衛省は無理押しであることを承知しており、プラットホームそのものに抗議はしていない。

では、何をするべきなのか。答えは、現地での監視強化と嫌がらせを行うことだ。すでに、海自は10年前から現地を監視している。監視飛行として哨戒機を飛ばし、日本領域の端々を毎日偵察しているが、中でも東シナ海ガス田は重要な監視対象である。P-3Cが昼間に低空で真上を飛び、撮影そのほかを実施している。

中国側はこれに反発している。EEZへの独自解釈ほかによるものだが「中国の海洋平和利用を妨害している」という記事が時折みられる。これは多少の嫌がらせにはなっている証拠でもある。

ただし大きな課題がある。P-3Cや新鋭機P-1は、かつての100機運用体制から最近では60機運用体制になっているのだ。ところが、南シナ海監視を追加する話が浮上するなど、哨戒機の出番は増えている。南シナ海監視が実現した時、ガス田監視飛行も継続するには、哨戒機運用数を元の100機に戻す必要がある。中国の海洋進出に対抗するためには哨戒機の拡充は最優先事項といえる。

文谷 数重 軍事ライター

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もんたに すうちょう / Sucho Montani

1973年埼玉県生まれ。1997年3月早大卒、海自一般幹部候補生として入隊。施設幹部として総監部、施設庁、統幕、C4SC等で周辺対策、NBC防護等に従事。2012年3月早大大学院修了(修士)、同4月退職。現役当時から同人活動として海事系の評論を行う隅田金属を主催。ライターとして『軍事研究』、『丸』等に軍事、技術、歴史といった分野で活動

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