これまで、アナリストやコンサルタントとしてキャリアを積んできた坂下さんにとって、今回の仕事は大きな「キャリアチェンジ」にも見える。しかし、「これまで顧客とリレーション構築しながら業務を遂行してきた私の経験を活かせる仕事だと思いました」と坂下さん。その理由は、既存の商品やサービスを売るのではなく、中小企業と大企業をマッチングするというリンカーズのビジネスモデルにある。リンカーズの統括マネジャーに求められるのは、まさに坂下さんが得意とする「人と人とをつなぐ」能力だったのだ。
坂下さんは、プロジェクト単位で仕事を請け負う「業務委託」という形でリンカーズと契約を結び、週3日出社ほどのペースで働き始める。当初は坂下さん自身も、正社員になれるとは思っていなかった。しかし、坂下さんの営業センスのよさを見抜いたリンカーズの前田佳宏社長は、彼女が働き始めて1カ月も経たないうちに、「正社員として、当社の事業に継続的にかかわってほしい」と持ちかけた。
前田社長はもともとコンサルティング業界の出身で、結果さえ出せば働き方にはこだわらないという仕事観を持っていた。坂下さんに「成果を上げてくれれば、出社は週3日で構わない」という条件を提示。リンカーズでは、社長の方針により、正社員であっても兼業が認められている。坂下さんにとっても、正社員として安定した収入を得ながら、フリーランスとしての仕事も大切にできるリンカーズの提案は魅力的だった。
こうして坂下さんは「週3日出社の正社員」になった。出社義務があるのは火・木・金曜日だが、そのほかの曜日も、クライアントからの電話やメールに自宅や外出先で対応することはある。リンカーズでは、インターネットと電話があれば会社にいなくても仕事ができる、いわゆる「テレワーク」のシステムが確立されている。そのため、週3日出社でも仕事の上で不自由を感じることはない。
また、全国の中小企業が受注先になるビジネスモデルの性質上、社員は出張が多く、普段からオフィスにいないことが多い。週3日という勤務体系でも、坂下さんだけが特に不在がちという状況ではないという。
「月・水曜日は出社する必要はないのですが、都心にあるリンカーズのオフィスは便利で快適。集中して仕事をするために、自主的にオフィスへ行くこともあります」という坂下さん。「そういえば、理紗さんは週3日出社の契約ですよね?」と同僚から確認されることもあるほど、リンカーズの雰囲気に違和感なく溶け込んでいる。
2つの「スイッチ」で仕事にメリハリ
週に3日の出社といえども、坂下さんのリンカーズでの活躍ぶりは、週5日、フルタイムで働く正社員に勝るとも劣らない。アナリストやコンサルタントとして培った分析力を生かし、企業が自社の課題を解決するためのツールとして、リンカーズのサービスを提案。大手企業への新規営業を次々と成功させた。
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