トランプ「副大統領候補」その知られざる"転換" トランプを「文化的ヘロイン」と呼んだ過去も
少し前まで、バンスの攻撃の矛先はトランプに向けられていた。
2016年当時、バンスはトランプを「文化的ヘロイン」と呼び、アドルフ・ヒトラーに例えてさえいた。選挙後、バンスのベストセラー『ヒルビリー・エレジー アメリカの繁栄から取り残された白人たち』は、労働者階級の白人有権者が記録的な数の投票をしてトランプを当選させた選挙を、民主党がどのようにもみ消したかを理解しようとするリベラル派にとっての必読書に近いものとなった。
トランプは今、”改宗者”ほど献身的な人物はいないと賭けている。
より多くの労働者へアピールしようとしている
共和党は、バンスの当選によって共和党の労働者層への新たなアピールが確固たるものになることを期待している。バンスは著書の中で、オハイオ州とケンタッキー州の貧しい片隅で育った自身の生い立ちを語っている。
「共和党内では、より多くのブルーカラー労働者にアピールしようという動きが見られる」と、ウクライナへの援助など、いくつかの問題でトランプとバンスの両氏と激しく対立している、オハイオ州のマイク・デワイン知事(共和党)は語る。同氏は、今回の人選はトランプが「政策面で自分に近い人物を望んでいる」ことを示していると分析する。
バイデン大統領は15日、バンスについて、同氏にタグをつけて「諸問題についてはトランプのクローン」と初めてコメントした。
バンスの選択は、アメリカ・ファーストのイデオロギーを求める孤立主義勢力にとっての勝利でもあった。フォックス・ニュースの元司会者で、週明けに共和党大会で講演する予定のタッカー・カールソンも、興奮したと語った1人だ。
少なくとも当面は、バンスはトランプのビジョンを再構築するというより、むしろ増幅させると予想される。しかし、同氏は外交と内政の両面で、歳出削減よりも行政国家の抑制に重点を置き、海外介入に懐疑的な姿勢で臨む。