デリカミニ「前年比2倍」を達成できたうまい手法 イメージ戦略が成功したマーケティング好事例

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個人的には、以前のeKクロス スペースは、ターゲットを誤っていたのではないかと思う。eKクロス スペースの顔つきは、「アウトランダーPHEV」や「デリカD:5」と同じ、Xをモチーフにした「ダイナミックシールド」というデザインだった。力強さと先進性を訴える、男らしい顔つきだ。

キリっとした顔つきのeKクロス スペース(写真:三菱自動車工業)
キリっとした顔つきのeKクロス スペース(写真:三菱自動車工業)

しかしながら、スーパーハイトワゴンのユーザーは、子育て中の女性が中心となる。そんな女性に向けて、ダイナミックシールドは、ちょっと的外れだったのではないだろうか。

また、「eK+クロス+スペース」という名称も、論理的ではある一方、少々わかりづらい。前提として、eKシリーズ全体の編成を理解していなければならないというのは、クルマに興味の少ない人にはハードルが高いだろう。

それに対して、まるで犬のようなキュートな顔つきと、ペットネームのようなストレートな名称のデリカミニは、スーパーハイトワゴンを求める層にぴったりだったのだろう。

デリカミニでは丸型風ヘッドライトなどにより柔和な印象に(写真:三菱自動車工業)
デリカミニでは丸型風ヘッドライトなどにより柔和な印象に(写真:三菱自動車工業)

聞くところによると、デリカミニのCMなどに登場する、犬のような(?)マスコット「デリ丸。」の人気は絶大で、ぬいぐるみの売れ行きも絶好調だとか。

デリカミニの成功をどう生かせるか

クルマの販売は、性能云々よりも、ターゲットにあったデザインとイメージが重要であることが、eKクロス スペースからデリカミニへのリニューアルを見れば、よくわかる。

三菱自動車は、2024年2月に発売したピックアップトラックの「トライトン」も好評のようだ。こちらもオフロード4WDのピックアップというわかりやすいイメージが、功を奏していると言える。

三菱自動車が、これからデリカミニをどう成長させていくのか。そして、他モデルにこの成功事例をどう生かしていくのか。実に興味深い。

【写真】改めてデリカミニのスタイリングを見る(25枚)
鈴木 ケンイチ モータージャーナリスト 

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すずき けんいち / Kenichi Suzuki

1966年生まれ。茨城県出身。國學院大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て独立。レース経験あり。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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