デリカミニ「前年比2倍」を達成できたうまい手法 イメージ戦略が成功したマーケティング好事例
こうした“ミニ手法”は、三菱自動車にとって初めてではない。1990年代から2000年代には、大型SUV「パジェロ」の弟分として、軽自動車の「パジェロミニ」が人気となった。
パジェロミニは独自のメカニズムを持つモデルであったが、兄貴分のイメージを上手に使うという点では、デリカミニも同じだ。
なお、パジェロの名称を持つモデルとして、他にも「パジェロ・ジュニア」「パジェロ・イオ」も存在した。
デリカミニ登場でeKシリーズの販売は2倍に
では、発売1年でデリカミニは、どのぐらい売れたのか。
まず、発売前の2022年度(2022年4月~2024年3月)の販売実績は、eKシリーズ全体で2万6379台。販売ランキングは15位だった。2021年度は2万9599台で、はっきり言って低迷している。
なにせ、eKシリーズには、eKワゴン/eKクロス/eKスペース/eKクロス スペースの4車型が含まれているのだ(eKクロスEVは当時、未発売)。
ところが、デリカミニを5月に発売した2023年度は、5万2427台となっている(デリカミニもeKシリーズに含まれる)。なんと、前年比で約2倍だ。
このうち、デリカミニだけで言えば、3万7216台(三菱自動車より)。つまり、デリカミニ1モデルだけで、前年のeKシリーズ全体よりも数多く売れているのだ。これは、まさに大成功である。
デリカミニは、中身は同じでも、デザインと名称、そしてイメージを一新するだけで、売れ行きは変わるのだという、いい実例と言えるのではないか。
ただし、2024年度のデリカミニの販売は、4月:4130台、5月:2230台、6月:2082台と徐々に落ちてきている。ニーズが一巡したのであろう。今後のテコ入れが非常に重要という局面となっている。この夏の販売攻勢の結果に注目したい、という状況だ。
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