デリカミニ「前年比2倍」を達成できたうまい手法 イメージ戦略が成功したマーケティング好事例

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スーパーハイトワゴンといえば、ベストセラーの王者ホンダ「N-BOX」に、スズキの「スペーシア」とダイハツの「タント」が挑む構図となっている。現在の軽自動車の主力となるボディタイプであり、いまもっとも売れている軽自動車だ。

ところが、この売れ筋ジャンルにありながらeKスペース/eKクロス スペースの売り上げは、非常に厳しいものであった。

eKスペースとそのクロスオーバータイプのeKクロス スペース(写真:三菱自動車工業)
eKスペースとそのクロスオーバータイプのeKクロス スペース(写真:三菱自動車工業)

デビュー直後となる2020年度でも、eKスペース/eKクロス スペースを含む、eKシリーズすべてを合わせても3万3100台しか売れなかった。販売ランキングでは、14位。

これは、ベストセラーモデルであるN-BOXの2カ月分にしかならない。同年度のN-BOXの販売は、19万7900台であった。また、eKスペース/eKクロス スペースと基本設計が同じ兄弟車の日産「ルークス」は、10万台弱を販売して、販売ランキングで5位に入っている。

デリカの弟分のようなイメージにリニューアル

売れ筋ジャンルであり、兄弟車はヒットしているとなれば、三菱自動車の悔しさは予想に難くない。そうした現状打破の手法として採用されたのが、eKクロス スペースのリニューアルだった。

名称とフロントまわりのデザインを一新し、足回りの設定などを変更。新型車デリカミニとして発売したのだ。

フロントマスクとフェンダーまわりを変更してデリカミニへリニューアル(写真:三菱自動車工業)
フロントマスクとフェンダーまわりを変更してデリカミニへリニューアル(写真:三菱自動車工業)

外観の雰囲気こそ大きく変わったが、基本的には「eKクロス スペースのまま」といえる。

「デリカ」とは、三菱自動車の日本市場における大黒柱のひとつだ。主力となるのは「デリカD:5」で、ミニバンでありながら、4WDを得意とする三菱自動車らしく、オフロード走行も得意とするクロスオーバーであるという特徴を持つ。このデリカの名称と雰囲気を持ち込み、デリカミニはデリカの弟分のようなイメージに仕上げられている。

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