星野リゾート進出で「函館の残念」が解消される? 「夜景を見た後、どこへ行けばいいかわからない」

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ツアーアクティビティー
OMO5スタッフが「はこだて自由市場」を案内するツアーアクティビティーも開催している(筆者撮影)

さらに、函館のそれほど知られていない魅力として、多様な温泉もある。前掲の観光動向調査によれば、函館の訪問目的は、「食・グルメ」が86.4%と圧倒的で、次いで「夜景」が55.6%であり、「温泉」は39.2%と意外に低い(「歴史的建造物の見学」も、ほぼ同率の38.9%)。中村さんは、函館の温泉について次のように話す。

大浴場の琥珀色の湯
「OMO5函館」大浴場の琥珀色の湯(写真:星野リゾート)

「私が住んでいる場所から、自動車で10分圏内に12軒の温泉があるが、泉質もさまざま。また、函館は漁師町なので、漁の後に一風呂浴びる習慣があったからだと思うが、早朝から営業している浴場も多い。函館の温泉の魅力は圧倒的だ」

夏冬の繁閑差、どう埋める?

函館の最大の観光課題は、夏冬の繁閑差だろう。だが、冷静に見れば、函館の訪問目的として挙げられている「食」「夜景」「温泉」「歴史的建造物」等は、いずれも季節を問わず楽しめるものばかりである。食に関して言えば、「身の引き締まった天然のホタテは冬にしか味わえない。ゴッコ(ホテイウオ)なども冬ならではの味覚」(中村さん)と魅力的だし、夜景や温泉はむしろ冬に訪れたほうが、満足度が高そうである。

スキーリゾートは別として、どうしても寒い冬の北海道は旅行先としての優先度が下がる傾向があるのかもしれないが、それも情報の発信の仕方次第で変わる可能性がある。近年、星野リゾートが行政や地元事業者と連携して、街づくり・誘客に成功している例もあり、何よりも星野リゾートは情報発信にも長けている。今後の動きに注目したい。

「OMO5函館」建物外観と海灯りの湯上がりラウンジ(写真:星野リゾート)

なお、せっかく北海道に行くならば、他の観光地も巡りたいという人も多いと思うが、北海道の星野リゾートの代表的な施設「星野リゾート トマム」にも最近、動きがあった。中国企業の復星(Fosun)傘下の豫園商城が、約408億円で「星野リゾート トマム」を売却したというニュースである(参考記事:「星野トマムを売却」中国企業の"謎だらけの行動")。

星野リゾートは不動産を所有せず、ホテル・旅館の「運営」に特化したビジネスモデルを採用しており、本件については「今後も新しい投資家(オーナー)をパートナーに今までどおり、トマムの運営を続けてまいります」との声明を出している。

新たな投資家である「YCH16」について、星野リゾート広報に問い合わせたところ、「投資家側から何かしら発表があるまでは、弊社からお伝えできる情報はございません」との回答だった。こちらの動きも、引き続きウォッチしたい。

森川 天喜 旅行・鉄道作家、ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)、『かながわ鉄道廃線紀行』(2024年10月 神奈川新聞社刊)など

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