星野リゾート進出で「函館の残念」が解消される? 「夜景を見た後、どこへ行けばいいかわからない」
さらにサービス開始後も、運転手の人件費や、車両のメンテナンスなど含め、相当な費用がかかると思われるが、無料サービスとして提供し続けられるのだろうか。
「運行費用は、ホテル全体の売り上げから捻出することになるが、(総客室数245室の中規模施設ということもあり)お客様1人あたりのご負担額はそれほどにはならないと試算している。また、ストレスフリーな観光という価値あるサービスを提供することで、旅行満足度の向上にもつながると考えている。将来的には、ただバスを走らせるだけでなく、ガイドを付けたり、知られざるおすすめスポットにご案内するなど、より付加価値を高めていきたい」
函館の夜、どう過ごす?
次に、いわゆるナイトタイムエコノミーも、函館の観光課題といえる。函館山の夜景を見た後、どこへ行けばいいかわからないといった声を聞くほか、ベイエリアのショップやレストランが19時に閉店した後は、チェーン系のカフェが人であふれる。
だが、知られていないだけで、行くところへ行けば遅くまで営業している店もじつは多いと、中村さんは言う。
「函館駅の近くであれば、地元の人に愛される店が軒を連ねる『大門横丁』がある。同横丁には網元直営の新鮮で旬な魚介を食べられる居酒屋など、穴場の店が多い。また、函館の繁華街のうち、函館駅周辺と五稜郭周辺を比較すると、五稜郭周辺のほうが深夜まで営業している店が多い。現状、こうした情報が、きちんと発信されていない」
同じことは、市場に関してもいえる。多くの観光客が訪れるのは、函館駅近くの「函館朝市」だが、函館にはほかにも「はこだて自由市場」や「中島廉売」があり、これらを合わせて「函館三大市場」という。
「もちろん朝市もいいが、『市民の台所』といわれる自由市場は、イカの専門店、貝の専門店、新巻鮭だけに特化した店などもあり、ものすごくレアなものを売っているなどディープな魅力がある。こうした場所は、あまり観光化してほしくないという意見もあるとは思うが、もう少し知られるようになって、函館を訪れるお客様の選択肢を増やすことにつながればと思う」(中村さん)
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