星野リゾート進出で「函館の残念」が解消される? 「夜景を見た後、どこへ行けばいいかわからない」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

また、市電は2つの系統が運行されているが、市電を使って五稜郭に行こうとすれば、五稜郭を一望する「五稜郭タワー」まで最寄りの停留場から750mほど歩かなければならず、微妙にアクセスしづらい。函館山ロープウェイ乗り場に向かう場合も同様で、停留場から急坂を登らなければならない。

もちろん、「歩けば街の風情を楽しめる」というポジティブな面もあるが、真夏の暑い盛りや足腰の弱い高齢者などはそうも言っていられないだろう。おそらく、タクシーで移動する人も多いのではないか。

函館を巡る3つのルート

こうした面に着目し、OMO5函館が施設オープンと同時に運行を開始したのが「函館ぐるぐるフリーバス」だ。同バスは時間帯によって3つのルートを巡り、宿泊者限定だが無料で利用できる。運行は網走バス(2024年4月1日付でHKB=本社:函館市を合併)に委託している。

「函館ぐるぐるフリーバス」
宿泊者が無料で乗れる「函館ぐるぐるフリーバス」。目立つのでホテルの宣伝効果も期待できそうだ(筆者撮影)

具体的な運行ルートを見ると、朝は五稜郭公園近くまでアクセスする便を2本運行する(ルート1)。日中は函館山ロープウェイ乗り場や歴史的建物が建ち並ぶ元町エリア、ショッピング施設となっている赤レンガ倉庫などのあるベイエリアを巡り(ルート2)、夜景の時刻には、函館山ロープウェイ乗り場への直行便を4本運行する(ルート3)。

無料バスのルート図
無料バスのルート図(画像:星野リゾート)

現状、バス1台での運行であり、日中の循環バス(ルート2)が1時間に1本と少ないものの、これまでの交通手段の不便な部分を補完するという意味では画期的なサービスといえる。

こうした新たな交通手段を開設するには苦労が多いと聞くが、「函館ぐるぐるフリーバス」の場合はどうだったのか。OMO5函館総支配人の中村光一朗さんに話を聞いた。

「当社のバスは路線バスではなく、観光バスの扱い。停車する場所(乗降場)に関しては、公安委員会と土地所有者の許可を得れば停車できるが、市役所や函館バスなど地元の交通事業者にも相談しながら、路線を決めていった。乗降場の確保で大変だったのは、桜の季節や祭りの時期に非常に混雑する五稜郭エリアだ。通常、観光バスが停車する駐車場には、常に止められるとは限らないと言われたので、五稜郭公園近くのコンビニと交渉し、同店の駐車場に止めさせていただくことになった」

次ページ今後も無料サービスとして提供し続けられるか
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事