イランがイスラエルを強く敵視する理由は何か 今後10年、イランに起こりうる3つのシナリオ

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かつてイランには、30万人を擁するユダヤ人コミュニティが存在した。この地域がペルシアと呼ばれた時代からユダヤ人とはゆかりの深い土地だった。

今から2500年以上前、バビロンに捕囚されていたユダヤ人を紀元前538年に解放したのは、ペルシア帝国のキュロス王である。

それ以来、ペルシアの地にはユダヤ人コミュニティが存続し、良好な関係を保ってきた歴史がある。そのユダヤ人との長い友好の歴史を断ち切ったのが、1979年のイラン・イスラム革命だった。

『イランの地下世界』

期せずして2024年5月に興味深い本が上梓された。『イランの地下世界』(角川新書)である。著者は長年イランに住む日本人の若宮總氏。といっても仮名なので、正体不明の謎の人物である。

著者は学者でもジャーナリストでもないが、ペルシア語に精通し、二十数年にわたってイランに住み、イラン庶民の中で暮らしてきた。現イラン体制の暗部を忖度なしに暴露できるよう、ペンネームを余儀なくされたという。

それだけに、にわかには信じがたいようなイラン国民の本音と現実があぶり出されている。

詳しくは本書をお読みいただきたいが、少し引用させていただく。

イランというと、日本では「北朝鮮の中東版」のような扱いなので、その国民も体制のイデオロギーにどっぷり浸かった狂信的な人々ではないか、と思われがちである。/しかし、……事実はその逆で、むしろイラン人ほど自国の抱える問題に自覚的な国民はいない。……イラン人が洗脳されていないのは、彼らが国営放送をはじめとする国内の「御用メディア」を、まったくと言っていいほど見ていないからである。(129ページ)
圧倒的多数のイラン人に共通しているのは、「イスラム共和国は“オワコン”」という認識だ。それは何も首都テヘランや大都市の人々に限った話ではなく、地方都市であれ農村であれ同じである。(155ページ)
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