広島電鉄、ミャンマーへ車両を譲渡する狙い 日本びいきの現地は、中古車両を大歓迎

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
日本の中古車両に笑顔で乗り込むヤンゴンの人たち

パンソーダン駅と呼ばれる駅が二つあり、一つは同駅から西へトーリークエ駅までの2.46マイル(約3.9キロメートル)の路線と、パンソーダン駅から東へパズンタウン駅まで伸びる3.08マイル(約4.9キロメートル)の区間がある。現在は各路線ともに1日10往復で運行されている。

同路線は英国植民地時代から敷設されていたものの、現在のように運行されたのは2014年の12月から。それまでは「ほとんど鉄道の姿を見たことがなかった」(在ヤンゴンJ-SATConsultingの西垣充社長)と言われていた路線だ。しかも、電化がされておらず、現在はディーゼルカーでかつて日本の三陸鉄道を走っていた車両がヤンゴン市民の足となっている。

路線の電化を計画中

ほのぼのとした路線で、「『これが日本の列車だよ』と言いながら、孫の手を引きながら乗車するおじいさん、おばあさんたちが多く乗り込む」(西垣社長)。今回、広島電鉄から車両を譲受したことで、この区間を電化して運行させる予定だという。

ミャンマー全土の鉄道路線は現在、ほとんどがディーゼルカーによる運行で電車が走っている区間はない。ヤンゴン市内では、ヤンゴン環状線と呼ばれる路線の電化計画が進められており、日本のJICA(国際協力機構)が協力している。ずいぶん改善したとはいえ、ミャンマーの電力供給難は続いており、鉄道路線の電化を進めるうえでネックとなっている。

広島電鉄の車両が走る路線が電化されれば、ミャンマーにとっても画期的なことになる。同社は今後、ミャンマー側から要望があれば、車両の検査方法や保守などについて技術的指導を行う予定だ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事