紫式部「夫亡くし娘は病」それでも強く生きれた訳 悲しみに暮れた式部の心の拠り所となったもの

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「物語については、同じように感じあえる人とは腹を割った手紙を交わし、少し疎遠な方には、つてを求めて声をかけた。私はこの物語というものを材料にして、さまざまな試行錯誤を繰り返し、慰み事に寂しさを紛らわせていた」とあるのです。友人らと物語を作っては、それらを見せ合い、時にそれを批評して過ごした。そのことが紫式部の寂しさを紛らわせていたのです。

悲しみから心を逸らすための方法

もしかしたら『源氏物語』の基になるようなものが、この頃に書かれていたと想像することもできます。悲しみから自分の心を逸らすには、何か趣味を持って、それに没頭するのもいいでしょう。紫式部も物語を紡ぎ、それを友人らに見せることで、寂しさを紛らわせることができたのですから。悲しみからどのように抜け出すか。紫式部の生き方には、そのヒントが隠れていたのでした。

(主要参考・引用文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数
X: https://twitter.com/hamadakoichiro
 

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