紫式部「夫亡くし娘は病」それでも強く生きれた訳 悲しみに暮れた式部の心の拠り所となったもの
「物語については、同じように感じあえる人とは腹を割った手紙を交わし、少し疎遠な方には、つてを求めて声をかけた。私はこの物語というものを材料にして、さまざまな試行錯誤を繰り返し、慰み事に寂しさを紛らわせていた」とあるのです。友人らと物語を作っては、それらを見せ合い、時にそれを批評して過ごした。そのことが紫式部の寂しさを紛らわせていたのです。
悲しみから心を逸らすための方法
もしかしたら『源氏物語』の基になるようなものが、この頃に書かれていたと想像することもできます。悲しみから自分の心を逸らすには、何か趣味を持って、それに没頭するのもいいでしょう。紫式部も物語を紡ぎ、それを友人らに見せることで、寂しさを紛らわせることができたのですから。悲しみからどのように抜け出すか。紫式部の生き方には、そのヒントが隠れていたのでした。
(主要参考・引用文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)
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