「16歳下の夫」と結婚した51歳彼女の"偉大な勇気" 大学勤務時代に博士課程にいた学生さんとの意外な縁

✎ 1〜 ✎ 268 ✎ 269 ✎ 270 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

そのうちに姉は元気になり、英子さんは東京郊外にある古民家を借りて一人暮らしを始める。36歳のときに生計を維持するために見つけたのが国公立大学の非正規スタッフの仕事だった。そこでは「不毛な恋愛」もしたと英子さんは言いにくそうに振り返るが、結果として和之さんと結ばれることができた。当時、彼はその大学の博士課程に在籍していた。

「もちろん、学生さんに手を出すようなことは一切していません。当時は教授も学生もスタッフも一緒になって研究室に机を並べていて、私は学生と同じ目線のおせっかいお姉さんという感じで過ごしていました。彼は博士課程を修了して就職し、県外に出ていたのですが、実家が関東にあります。帰ってきたときはお酒を飲んで近況を伝え合う友人になりました」

その頃、英子さんの九州の母親が大病を患い、看病する父親のフォローに追われていた。その苦労話を和之さんはウンウンとうなずきながら聞いてくれていたという。付き合っていたわけではないが、深い話もできて「美味しくないものは食べたくない」という点で共鳴し、いつも笑顔の和之さんを尊敬するようになったと英子さんは明かす。

「2018年の夏に母が亡くなりました。父は大変だったと思います。私も関東でやるべきことはやり尽くした気がしたので、西のほうに戻ろうかと考えていました。心残りは彼だけでした」

ドライブ帰りに思いを伝えたが

このままでは関東を離れられない。英子さんは一緒にドライブをした帰り道に、「年齢のことがあるので子どもは無理かもだけど、あなたのことが好きです」と思い切って伝えた。

北関東にある大手メーカーの開発拠点で働いていた和之さん。英子さんは遊びに行って飲食店で「しこたま飲み」、和之さんの家に泊まらせてもらうこともあった。ただし、ガツガツしたところがない和之さんと男女関係にはならなかった。

「告白したときも『僕は英子さんとはそういう感じじゃないと思う』とふんわり振られました(笑)。でも、45歳になっていた私は自分の気持ちが久しぶりに動くこと自体が嬉しかったです」

これで吹っ切れたと思っていたところ、翌々日になって和之さんからLINEでメッセージが入った。<やっぱり付き合いましょう。いろいろ考えた結果、僕には英子さんが必要だったみたいです>というのだ。その半年後、英子さんは和之さんが住む北関東の1DKに引っ越した。

「私の人生で一番無謀で、もしかしたら尊い衝動と行動だったかもしれません。でも、和之さんのご両親のことを考えると心配でした。29歳の息子のところに、16歳も年上の無職の女が転がり込んだのですから……。私と9歳しか離れていないお義母さんは以前から私のことをときどき聞いていたようですが、お義父さんのほうがとにかくビックリしていたそうです」

関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事