特にBYDは、2024年に「電比油低(電気は燃油より価格が低い)」を打ち出し、PHEVの価格破壊でエンジン車のボリューム層マーケットを一気に刈り取ろうとしている。
価格競争に突入したトヨタから日本車の苦戦が反映される一方、中国市場で「マルチパスウェイ」戦略を掲げるトヨタの行方がますます注目される。
ホンダ、日産…、日系メーカーは軒並み減
日系メーカーを詳しく見ていこう。ホンダの2024年1~5月の中国販売台数は、前年同期比16.7%減の34.6万台。値下げ競争に慎重な姿勢を続けたホンダは、5月に従業員の14%にあたる1700人規模の希望退職者の募集を実施し、コスト削減を行っている。
経営規模の縮小や主力モデルの競争力の低下などを勘案すれば、2024年通年の販売台数は100万台近辺に落ち込む可能性がある。そうなれば販売台数は、ピークとなった2020年の約4割減だ。
日産は、前年同期比1.0%減の28.6万台となり、底入れ感が出てきた。中国市場で67%を占めているセダンの「シルフィ」とSUVの「キャシュカイ」を値下げし、販売台数を維持している。
価格競争に巻き込まれると、継続的に値下げすることになるだろう。とはいえ、地場ブランドNEVのコスパに太刀打ちできない中、さらなる値下げはあまり現実ではない。今年6月には、年産13万台の常州工場を閉鎖し、余剰生産能力の削減を図っている。
では、トヨタの状況はどうだろうか。トヨタは、HEVの豊富なラインナップを強みとし、中間所得層以上の消費者を中心として買い替えニーズを満たしてきた。特に一汽トヨタ「カローラ」と広汽トヨタ「レビン」が、大衆向けセダン市場のロングセラーとしてトヨタの販売台数を支えている。
しかし、BYDが2023年2月に発売したPHEVのコンパクトセダン、「秦PLUS DM-i」チャンピオンバージョンは、カローラと同様の価格帯で販売し、2024年モデルの「秦PLUS DM-i」はカローラより3割も安くなっている。
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