トヨタ自動車は7月31日、全額出資の中国開発子会社「トヨタ自動車研究開発センター中国」の名称を「トヨタ知能電動車研究開発センター中国」に変更すると発表した。中国市場で進む自動車のスマート化とEV(電気自動車)シフトに対応するのが狙い。中国企業との合弁会社内に置いている他の研究開発拠点との間で経営資源の集約も進める。
トヨタ自動車研究開発センター中国は江蘇省常熟市に本部を置き、2010年11月に設立。現時点で700人の従業員が働いている。トヨタによると設立以来、同開発センターに延べ6億8900万ドル(約1002億円)を投資し、各種の自動車試験用施設を保有している。
トヨタは中国の国有自動車大手の中国第一汽車集団との合弁会社「一汽トヨタ」、同じく国有自動車大手の広州汽車集団との合弁会社「広汽トヨタ」、中国のEV最大手の比亜迪(BYD)との合弁会社「比亜迪トヨタ」の3社内にも、それぞれ開発拠点を設けている。トヨタ自動車研究開発センター中国の名称変更後、これらの開発拠点の経営資源を整理・統合していく方針だ。
トヨタの発表データによると、2023年1~6月期の世界自動車販売台数は前年同期比5.5%増の541万9841台。だがEVへの対応は保守的で、主としてハイブリッド車(HV)に注力してきた。2023年の前半の半年間に、トヨタが世界各地で販売したHV車は159万8000台に上ったものの、EVの販売は4万6000台、プラグインハイブリッド車(PHV)の販売は5万4000台、水素燃料電池車(FCV)は2353台にとどまった。
新たな開発体制、組織運営に課題も
中国市場では、PHVとEVがエンジン車に取って代わりつつあり、トヨタの2023年1~6月期の中国での販売台数は前年同期比2.8%減の87万9000台に落ち込んだ。
トヨタ中国法人の内情に詳しい関係者は、財新記者の取材に対して次のように解説した。「(トヨタの)今後の研究開発の重点はスマート化とEV化であることに間違いない。中国の合弁会社との連携はこれまでにも増して密となるだろう。ただ、新組織の運営については、これまでになかった組織形態であるので、日本の本社との連携や調整が課題となるかもしれない」。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は8月1日
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