JR芸備線の閑散区間「東城駅」実際どんなところ? 輸送密度13人だが、なぜか外国人観光客もいる

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こうした状況について、鉄道土木に詳しい富山大学特別研究教授の金山洋一氏は、時速25kmの速度制限については「経営上、まとまった保守費を当てられない中で、列車走行による軌道破壊の抑制を期待して速度抑制を行っていることと、軌道状態が低下したことにより速度が出せなくなったこと」が要因として考えられると解説する。「速度や運行頻度といった鉄道の強みを失っても路線の維持を図ってきた姿勢を見ることができるが、鉄道の強みを低下させているため利用面では負のスパイラル状態」だという。

東城駅が近づくと、突如として車窓には秘境には似つかわしくない真新しい住宅や工場などが立ち並ぶ大きな市街地が現れた。

東城駅前の街並み(筆者撮影)

想像以上に栄えている庄原市東城町

東城駅で下車したのは筆者だけだったが、まず驚いたのが東城の市街地には大型スーパーやドラッグストア、24時間営業のコンビニエンスストアが複数件立地しており街の活気を感じられたことだった。また、駅舎もきれいに整備されており、ホーム端には「やっぱり、芸備線がええよのぉ!庄原市」と書かれたのぼりと横断幕も掲げられていた。

東城駅のある庄原市東城町は2005年3月までは比婆郡東城町という独立した自治体だったが、平成の大合併により庄原市となった。こうしたことから旧東城町役場だった場所には庄原市東城支所が置かれており、東城地区だけで7000人弱の人口集積がある。さらに東城地区には日東粉化工業や竹原化学工業、積水樹脂などの工場が立地しているほか、大阪府吹田市と山口県下関市を結ぶ中国自動車道の東城インターも置かれている。

筆者は、東城インター向かいにある「『道の駅』遊YOUさろん東城」にも立ち寄り、職員の方に話を聞いたところ「東城への観光客は高速道路で訪れる人がほとんど」ということだった。しかし、来訪者の居住地は、岡山や広島に加えて京阪神地域と近隣の地域が目立つということで、備後落合駅のように全国各地から人が集まっているという状況ではないようだ。

なお、東城の住民は通院やその他の所用などで、新見、庄原方面に出かける機会が多いというが、鉄道が使い物にならないことから両地区へ25~30分程度で移動できる自家用車での利用がメインで、新見方面に行くのに芸備線を使う人がわずかながらにいるという。

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