JR芸備線の閑散区間「東城駅」実際どんなところ? 輸送密度13人だが、なぜか外国人観光客もいる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2024年3月のとある土曜日、筆者は芸備線の超閑散区間に乗るべく備後落合駅へと降り立った。芸備線の備後落合駅から岡山県方面の列車は、全列車が備中神代駅から伯備線に乗り入れ、新見駅まで直通運転をしている。設定されている列車は、備後落合―新見間が3往復、東城―新見間が3往復(土休日は2往復)だ。備後落合駅からは14時42分発の新見行へと乗車し、途中駅の東城駅で下車をする。

備後落合駅の1日の中で、14時25分から40分までの15分間は、芸備線の三次・新見方面、木次線の宍道方面からの3列車が並び、駅は乗り換え客でにわかに活気づく。特に芸備線の三次・新見双方から到着した列車は立ち席客が出るような混雑状況だった。この日は休日だったこともあり乗客の多くは観光客のように見える、

しかし、そんな備後落合駅は周辺に人家のほとんどない秘境駅として有名な駅だ。最盛期には、芸備線と木次線が分岐する広島県備北地区の基幹駅として蒸気機関車の機関区を抱え200名を超える職員が勤務していたというが、蒸気機関車から気動車への動力近代化や国鉄時代末期の合理化政策によって徐々に職員数を減らし、JR化後の1997年3月のダイヤ改正をもって備後落合駅は無人駅となった。

備後落合駅でボランティアガイドを行っている元国鉄機関士の永橋則夫さんは「駅ノートを見ていると備後落合駅には北海道から九州までさまざまなところからお客さんが来てくれている」と話す。さらに近年では伯備線に乗車するフランス人などの外国人観光客も目立つようになっており、そのうち芸備線に興味をもち備後落合を訪問する人も一定数いるという。永橋さんは芸備線で乗務していたこともあり、その話を聞くためにわざわざ遠方から訪れる人がいるという。ここでは鉄道そのものが観光資源となっている印象だ。

庄原市内の各駅にはのぼりと横断幕が掲げられていた(筆者撮影)

メンテナンスが放置された芸備線の閑散区間

備後落合駅を14時42分に発車する新見行の普通列車は、三次や宍道方面からの乗り換え客であっという間に席が埋まり10人ほどの立ち席客を出して定刻通りに発車した。乗客数は60人ほどだが、車体の全長が16mと通常の鉄道車両よりサイズが一回り小さいキハ120形気動車1両では相当な圧迫感を感じる。

備後落合駅を発車してしばらくすると、線路わきに生えている立木の枝がゴツゴツと音を立てて車体に当たり始める。また、鉄橋やトンネルなどのいたる所に時速25kmの速度制限が課せられており列車の速度が低く、線路のメンテナンスが放置されている印象を受ける。なお、備後落合―東城間25.8kmには49分もの時間を要するのに対して、自家用車では25分程度で移動ができる。

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事