メゾネットの場合は、上のフロアは窓が大きくオープンな雰囲気で、下のフロアはこもり感がありプライベート空間として機能しそうだ。住戸や場所ごとに、魅力や役割が感じられる。
住戸タイプは1Rや1LDK、バルコニー付きなどさまざまなパターンがあり、広さは36.30~70.92㎡と幅広い。賃料を調べると19万~34万7000円(※管理費など除く)。一概に比較はできないが、湯島の賃貸マンションの相場を見ると、1LDKで19.8万円(SUUMO調べ)だ。
湯島駅は千代田線が通っており、大手町などビジネス街へのアクセスもよい。天神町placeも駅から徒歩4分という距離で、近くにはスーパーもあり利便性も高い。
ヨーロッパの教会の雰囲気も参考に
さて、設計にあたって、伊藤氏が参考にしたものの1つにヨーロッパの教会がある。
「教会も天井が高く、ほのかに光が落ちるほの暗い場所で、人は離れて座ってじっと過ごします。その光景から、1人であっても30分でも1時間でもただ過ごせる居場所を作れるのではないかと思いました」
そんな居場所を目指し、伊藤氏は中庭を囲む壁面にある試みを行った。天神町placeの壁面は、不規則に凸凹して、木目も見える。
コンクリートだがやわらかさを感じるこの壁面は、建材として使えない病気で変形したスギの材が使われている。不揃いな材を型枠として並べ、コンクリートを流し、取り外すと壁面ができあがる。
「丸太の木の皮の部分を残して使うことで、細かい凸凹やザラザラの質感を表現することができました。壁にランダムな光と影ができて、飽きずに眺められます」
中庭で過ごした筆者は、壁面の陰影をじっと見つめていた。これは焚き火のゆらぐ炎や水面を見て癒やされる時間に似ていて、いくらでも見ていられる。だがもし壁全体がツルッとした質感であったら、息が詰まって落ち着かないだろう。
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