「クレカタッチ」は交通系ICカードを駆逐するのか 熊本で「全国相互利用」離脱、一方で逆の動きも

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全国交通系ICカードの取り扱い終了を決めた理由は、システムの更新費用が高額なためだ。5社でつくる「共同経営推進室」の担当者は「コロナ禍で各社の経営が厳しくなったのが検討のきっかけだった」と話す。

バスは5社で約900台あり、全国交通系ICカード対応の場合は更新費用が約12億円かかるのに対し、くまモンのICカードとクレカタッチ決済であれば約6億7400万円に抑えられるという。

共同経営推進室の資料によると、5社のバス・電車の利用者のうちくまモンのICカードを使っているのは51%(2023年度)で、全体の半数を超える。これに対し、全国交通系ICカードの利用者は24%。各社が窓口などで販売しているのもくまモンのICカードだ。

今後もキャッシュレス決済の軸は地元のICカードで、クレカタッチ決済はそれを補完する役割という形になる。

熊本 産交バス
熊本のバス・鉄道5社は全国交通系ICカードの取り扱いを2024年内に取りやめる(記者撮影)

市電はカードそのものが消える?

一方、2026年春をメドに全国交通系ICカードの取り扱いをやめる方針を示している熊本市電(熊本市交通局)の場合はやや事情が異なる。市電のICカード「でんでんnimoca(ニモカ)」は、スイカなどと同様に全国で相互利用できるカード、つまり全国交通系ICカードだ。取り扱いの終了は、現行のカードそのものの廃止を意味する。

市交通局が全国交通系ICカードから離脱する狙いは、システム更新費用の面もあるが「バス事業者(前記の5社)と共通の形にする」(担当者)という点だ。更新費用は全国交通IC対応のままだと約2億円、新システムに変えると約1億1000万円という。

市電の運賃支払いは全国交通系ICカードやくまモンのICカードのほか、2023年からクレカタッチ決済やQRコード決済にも対応しているが、市交通局によると利用の割合が高いのは全国交通系ICカードで、全体の約半数を占める。

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