そして、マジョリティ側はといえば、最大限の反撃能力をもって、既存の秩序を維持しようとするのである。
「ゲームチェンジャー」という産業社会の勝者
かつて20世紀の時代であれば、産業社会の勝者は、既存のゲームの中での優劣で決まるのが常であった。テレビ産業で成功したければ、誰よりも秀でたテレビを、いかに安く、上手に販売できるかが問われる。エアコンでも、自動車でも、洋服でも、話は同じである。競争とは、相手に秀でることだった。
しかし、現代の産業競争は、既存のルールを所与として行われるものではなくなりつつある。同じゲームの土俵で、トヨタ自動車の牙城を切り崩すのは至難の業だ。であれば、ゲームのルール自体を転じてしまえばいい。かくしてテスラは、その実力以上に支持を集めることになる。
テレビ放送局に対するYouTube、既存の白物家電メーカーに対するダイソン、フィーチャーフォン(ガラケー)に対するiPhoneなど、似た例はいくらでも挙げられる。いずれも、構造は同じだ。既存のゲームの支配者に対し、その秩序を根底から覆しうるようなゲームチェンジが、新興のプレーヤーによって仕掛けられたのである。
ゲームチェンジ。それこそが、現代の産業社会を読み解くカギである。
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