韓国焼酎が最大輸出先の日本で苦戦する理由 2014年の対日輸出は前年比14%も減少
韓国貿易協会によれば、韓国の酒類メーカーの中国への輸出額は953万ドルで、前年比13.5%増。中国で販売される焼酎の度数は韓国と同じだ。焼酎ブランドでは、ハイトジンロは「チャミスル」(17.8度)、ロッテ酒類は「初飲初楽」(17.5度)だ。
ハイトジンロとロッテ酒類が日本や中国で人気を得たのは、親しみやすいイメージが好感されたためだ。ジンロは1997年に「飲む楽しみ」をアピールしたマーケティングが今のジンロの地位をつくった。当時、ジンロのテレビCMを見ると、「焼酎」という言葉は一度も出てこない。飲むと楽しい、飲めば楽しいというイメージをアピールし、日本人にジンロは「楽しさ」「若さと活力」というイメージを植え付けた。
ロッテ酒類も健康を重視する日本の消費トレンドに合わせ、甘味料の代わりに麦焼酎を配合し「柔らかい焼酎」という新たな焼酎カテゴリーをつくった。これに日本最大手の酒類・飲料メーカーであるサントリーの流通網を活用し、販売量を増やした。
中国市場を攻略する際にも、中国特有の文化をブランドに込めた。ロッテ酒類の「初飲初楽」は、「初めての味、初めての喜び」という前向きでよい意味を込めている。中国ではアルコール度数が40~50度の白酒や、3~5度のビールがメイン。しかし、20度前後の韓国焼酎が中国人の選択肢に入るだけの競争力は十分にあるというのが、ロッテ酒類側の説明だ。
アフリカ市場にも進出
韓国焼酎はすでに世界60カ国に進出しているとは言え、日本と中国以外では販売量は微々たるものだ。ハイトジンロのヤン・インジプ社長は「韓国と日本を除けば、焼酎に対する認知度は低い。特に東南アジアやアフリカの場合、焼酎を販売するための登録期間が長く、進出まで長い時間がかかる」と言う。しかし、ハイトジンロとロッテ酒類は、味と品質を前面に打ち出して製品のポートフォリオを拡大、現地化された商品の開発やマーケティングを始めた。特に彼らは、人口が多い国を集中して攻略している。
ハイトジンロは最近、人口が10億に達するアフリカ市場に進出した。ガーナでは現地の酒類メーカーと提携し、ジンロの原液を供給して現地で生産・販売している。ナイジェリアではジンロのワインを販売し、テレビやラジオCMで認知度を高めようとしている。前出のヤン社長は「まだ種をまいた初期段階で販売量は多くないが、若い人たちの間で焼酎に対する関心が高まっている」と手応えを感じている。