韓国社会の"病根"がMERS禍の拡大を招いた 「一次感染の終息」宣言後も感染者数が増加
韓国語で「大丈夫」を意味する「ケンチャナヨ」という表現がある。「感染しているかもしれないが、ケンチャナヨ」。国全体を覆うそんな意識が事態の悪化を招いているのではないか。
中東呼吸器症候群(MERS)が韓国で猛威を振るっている。6月19日午前時点で死者は24人、感染者は166人に拡大。隔離対象者も5900人まで増えている。今回のケースについて、政府の後手に回った対応と感染者・隔離対象者の認識の甘さが重なった結果、と見る向きは多い。
甘すぎた政府の初動対応
MERSは2012年に初めて確認され、サウジアラビアやアラブ首長国連邦を中心に感染者が発生した。症状としては、38度を超す熱やせきが続く。世界保健機関(WHO)によると、感染者の死亡率は40%。飛沫や人との接触による感染が多いという。
韓国で感染が拡大するきっかけとなったのは、4~5月にサウジアラビアやバーレーンを旅行した60代の男性だ。文亨杓(ムン・ヒョンピヨ)・保健福祉相が「管理網があまりにも狭かった」と対策のまずさを認めるほど、政府の初動対応は甘かったと言わざるをえない。
情報公開も適切とはいえない。最初の感染者を確認してから、2週間が経ってようやく、入院している病院名などを公表。その間、事実とは異なる、誤った情報が拡散してしまった。
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