ドンキ「ほぼバイトで営業」店を密かに増やす事情 昨年10月から実験開始、現在は都内5店で展開
小売業界にとって、人手不足への対応が喫緊の課題であることは言をまたない。この1年間で24店の新店を出し、来期(2025年6月期)も同程度の出店を計画するドンキにとってはなおさらだ。
既存店も人手不足が常態化。渋谷などの都心部は、訪日観光客増加の追い風もある。繁忙対策のために、周辺の支社から正社員を送り込むことがままあり、北千住西口店管轄の東京第1支社からも都心店へ相当の数の正社員を送り込んだという。
「売り上げの見込めるエリアに人を厚く配置するのは企業として当然。一方で、社員数には限りがある。どうすれば」(東京第1支社の本巣誠支社長)。悩んだ末に本巣氏が考えついたのが、メイト主体運営だった。
メイトが実力を十分に発揮できていなかった
本巣氏は自身もメイトとしての勤務経験があり、メイトの「実力」を理解していた。メイトは店舗周辺に住んでいることが多く、地域の実情をよく知っている。原則異動がないため、店舗での勤務歴も長い。
一方、本巣氏はメイトとコミュニケーションをとる中で、「私は社員じゃない。バイトだ」という意識から、実力を十分に発揮できていないメイトが多いことも感じていた。「ドンキは実力主義を標榜する会社。なのに社員とメイトという違いだけで仕事に差がある」(本巣氏)ことに違和感もあったという。
そこで北千住西口店で、思い切ったメイトの登用を進めた。
ドンキ社内では各カテゴリーの責任者を「MDプランナー」と呼ぶが、そのMDプランナーにメイトを任命。2023年9月に閉店となった町屋店(荒川区)を含む近隣店から、実績のあるメイトを北千住西口店に送り込んだ。
メイトがMDプランナーになっても、その役割に変わりはない。MDプランナーはそのカテゴリー全体に責任を持つ。通常、メイトは売り場だけを任されるが、MDプランナーは各売り場の数値目標の設定や売り場作りの指示、発注計画の確定まで担う。メイトの勤務シフトの管理やクレーム対応といった管理業務も、MDプランナーの仕事だ。
通常は店長など社員が取得する資格、例えば大型事業所を運営するのに必要な衛生管理者や、コンタクトレンズ販売に必要な高度管理医療機器等管理者などもメイトが取得し、店舗の責任者として登録しているという。
このような社員からメイトへの業務移管を進めつつ、店舗常駐の社員数を段階的に減らし、2023年10月、北千住西口店は店長以外の全員がメイトで構成される体制となった。
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