1990年代「BMW」を日本に浸透させたE36を回顧する 日本にマッチした小さくて走り良い3シリーズ

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当時、私が聞いたのは、BMW車の乗り味は、サスペンションシステムの設計に加え、使う金属の組成によるところが大きいということ。

それで独特の“しなり方”をする。そして、それがハンドリングにおける“味”になる。可能にしているのは、BMW社の“マイスターの腕前“とのことだった。

後日、ミュンヘンのBMW本社で確認したところ「あれは私たちが立ち入れない領域のワザなんです」とエンジニアが教えてくれた。マイスターの技量と感覚が、気持ちの良い走りを作り出す。人間の感覚が、クルマの乗り味を決める重要な要素なのだ。

日本では4気筒の318iからハイパワーなM3まで数種類のラインナップで販売された(写真:BMW)
日本では4気筒の318iからハイパワーなM3まで数種類のラインナップで販売された(写真:BMW)

今は、日本のメーカーでも評価ドライバー制度とでもいうべきものを作り、大切にしている。その人たちが、加速感や減速感、ハンドルを切ったときの動き、乗り心地、音などを判断して、トヨタ車、レクサス車、日産車……と、ブランドごとの個性を作っていく。私がそういうことに初めて感心したのが、BMWだった。

マニュアルで乗る318iSやハッチバックのtiも

もうひとつ、E36で印象的だったのは、モデルバリエーションの作りかた。4ドアセダン、2ドアセダンの後継となる2ドアクーペ、カブリオレ、ステーションワゴン(ツーリングとBMWでは呼んでいる)、それにパワフルなMモデルと、バリエーションが豊富だったのだ。

中でも、BMWのこだわりだと聞いたのは、2ドアモデル。4ドアとスタイリングイメージは近くても、ボディパーツの多くは独自設計だった。

クーペのボディはロングノーズ・ショートデッキを強調した独自のスタイル(写真:BMW)
クーペのボディはロングノーズ・ショートデッキを強調した独自のスタイル(写真:BMW)

一見するとボディのシルエットにのみ目がいくが、よく見ればボンネットは長く、トランク部分の形状も違えば、ドアもリアクォーターパネルも違う。ドイツ人などは、そこを評価する。

E36で2ドアクーペというと、「318iS」を思い出す。1992年に追加されたモデルで、特徴はDOHCヘッドを載せた1.8リッター4気筒エンジンにある。しかも、日本でもマニュアル変速機を搭載して、販売された。

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