KDDI社長「僕は商売人の子、マーケも詳しい」 明暗わかれた携帯各社、勝ち組auの秘密(下)
――スマホ投入に出遅れ、顧客獲得に苦戦していたタイミングでの社長就任だった。
契約獲得の勢いが落ちて、1契約当たりの収入も下落する苦しい状況だったので、急速にスマホシフトを進める必要があった。社長に就任した当時は シャープのスマートフォン「IS03」しかなくて、このままでは厳しいと、翌年にはアップルの「iPhone 4s」を導入している。
2012年3月にスマートバリューなどを含む3M戦略(※)を始めたが、かなり前から検討していた。法人営業の担当から、2010年4月に個人向け営 業の担当に変わったのだが、契約獲得数は落ちていて、これは骨太の戦略を作らないとだめだと。1年ほど約10人の若手メンバーと検討していた。
(※さまざまなコンテンツやサービスを提供する「マルチユース」。固定回線と無線の複数のネットワークを組み合わせてデータ通信を分散する「マルチネットワーク」。スマホやタブレット、PCなどで利用する「マルチデバイス」を進めるという戦略)
セット割引きを強力に推進
スマートバリューは「固定回線とスマホを両方買えば値下げする」というバンドル(組み合わせ)プラン。値引き分と契約の純増分のバランスがとれないとうまくいかない。業界トップはやってはいけない戦略だが、当時は顧客獲得競争で3位。あらゆることをやらなければならなかった。
KDDIだけでは販売チャネルが弱いので、電力系の事業者やケーブルテレビと手を組んだ。ケーブルテレビはauのユーザーと異なり、契約者の平均年齢が50歳であるとか、家族単位の顧客ベースも持っている。顧客との密着度も高い。また、自社の光回線のカバーエリアも狭かったので、連携して全国をカバーしようと考えた。バンドルプランは解約率を抑える効果や、(家庭のWi-Fiによるデータ通信で、LTEなど無線ネットワークの負荷を軽減する)データオフロードのメリットもある。ぶれずにやっていこうとスタートした。
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