ジャカルタ鉄道新線「日本支援で建設」決定の裏側 JICA現地事務所長に聞く「東西線プロジェクト」
――運輸大臣と知事代行の力があってもDGRは抵抗するんですね。
安井:私が聞いているところでは、DGRの総局長がもうあきらめろと下に言ったりして、それでもすんなり決まらなかった。結局国から正式要請は出たが、第一期区間も1駅だけ西ジャワ州に出る区間があるので、経済調整大臣令を少し変える必要があった。それで少しはみ出す区間も含めてMRTJが実施できるようにした。それが終わって、やっと抵抗勢力が抑えられていった。
――先ほど、今の法令ではできない部分があるという話がありましたが、その部分ですね。
安井:そう。そしてもう一つ、東西線のフェーズ2は完全にDKIの外に出るが、その部分は議論を先送りすることになった。私などはMRTJができればと思うが、DKIの外に相当出てしまうので、MRTJが関与しながらジョイント的な会社をつくるのかどうかなど、いろいろな議論がこれから出てくるのかなと思う。
円借款供与後のお金の流れは?
――南北線の実施体制を東西線のフェーズ1に引きつぐということですが、国と州の負担比率や、円借款供与後のお金の流れなどのスキームを簡単に説明いただけますか。
安井:スキームとしては中央政府が49%、DKIが51%の割合で負担している。実施主体は一応DGRだが、その下に「インプリメントエージェンシー」というのを置いている。それをDKIにして、実際にはDKIが主体的に行っている体制になっている。
お金の流れは、JICAからインドネシアの財務省に入って、そこから中央政府の負担分はグラント(無償資金:返済不要の補助金)としてDKIに流れる。DKIの負担分はオンレンディング(転貸:中央政府からDKIへの貸付)として流れる。そしてDKIからMRTJにお金が行って工事が行われるという形だ。
――お金はまず国に入り、そこからDKIに入ってMRTJに流れ、工事を進めるということですね。返済するのは逆の流れで、DKIからお金を政府に返して、国が返済するという形ですか。
安井:(返済するのは)国だが、51%をDKIが払い、49%は国が払うという形だ。
――東西線のフェーズ1に対してもMRTJが工事を進め、運営していくということで間違いないですね。
安井:そういうことだ。
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