原発の敷地面積があれば太陽光はもっと発電可能--テスラ・モーターズCEO イーロン・マスク
──日本では太陽光発電は原子力発電に比べて高コストだ、という考えが根付いています。
太陽光パネルの価格は1ワット当たり4~5ドルだったのが今や同2~3ドル程度と、ここ5年間でほぼ半減した。ただ、たとえば許認可に必要な事務費用はパネルと同じくらいかかるうえ、人件費など諸費用も重い。パネル自体の価格は下がっているのに、関連費用が高いのが問題だ。
一方、原子力は安価なエネルギーだと考えられているが、発電コストを考える際には、原発規制や安全対策、核廃棄物処理などにかかわるあらゆる費用や補助金なども含めるべきだ。こうした「隠れたコスト」を誰が支払っているのかというと、納税者だ。各エネルギーによる正確な発電コストを比較するには、こうしたコストもすべて合算して見極めなければいけない。
典型的な原子力発電所の面積は、建屋を中心に周辺の敷地なども含めて考えると半径3キロメートル程度、およそ28~29平方キロメートル程度だ。それだけの面積があれば太陽光発電の場合、数ギガワットの発電が可能となり原発の発電能力より高い。しかも原発の場合、「立ち入り禁止地区」を設けなければいけないが、太陽光はそうした心配もなく家庭でも会社でもどこにでも設置できる。
──日本で太陽光の普及を促進するためにはどういった環境が必要でしょうか。
やるべきことは三つある。まず一つは市町村や県単位ではなく、国家レベルで規制を整備することだ。