そんな中、ヨーロッパでは中国車への逆風がさらに強まっている。EU(欧州連合)の政策執行機関である欧州委員会は、中国製EVに対する反補助金調査を進めており、高率の追加関税を課すとみられているからだ。
(訳注:欧州委員会は6月12日、中国製EVに対して7月から最高38.1%の追加関税を課す暫定措置を発表した)
さらに追い打ちをかけているのが、ヨーロッパでのEV販売が(ドイツ以外でも)全体的に減速していることだ。市場調査会社SNEリサーチのデータによれば、2024年1月から4月までの期間にヨーロッパ市場で販売されたEVとPHV(プラグインハイブリッド車)は合計88万1000台にとどまり、前年同期比の増加率は8.6%と1桁台に落ち込んだ。
物流の余力不足も一因
とはいえ、中国車の滞留はそれだけが理由ではない。ヨーロッパの港湾や自動車物流業界は、そもそも輸入車の急増に対応できる余力がなかった。前述のオートモーティブ・ニュースの報道によれば、自動車運搬用のトレーラーが不足していることも、荷揚げされたクルマを港から運び出せない要因の1つだという。
国有自動車大手の上海汽車集団は、子会社の上汽安吉物流を通じて中国最大の自動車運搬船団を保有している。財新記者の取材に応じた上汽安吉物流の金麒・総経理(社長に相当)は、中国車の輸出の現場で生じている問題について次のように語った。
「海外の港湾の多くは、貨物量の大幅な変動に素早く対応できない。ここ数年の中国からの輸出急増で、輸入国の港では自動車運搬船の入港待ちが常態化し、荷揚げ作業が完了してもクルマの保管場所が足りない」
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は6月8日
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