なぜ「SNSでの画像無断使用」が問題視されるのか リアルで接点がない相手と会ってしまう理由

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内田容疑者は被害者について、「やり取りしているときの言葉遣いが気に入らなかった。呼び出して謝罪を求めたが、失礼な態度だった」という趣旨の供述をしていると報じているところもある。

内田容疑者のものと見られるInstagramは非公開だ。この年代のユーザーの多くが、InstagramをメインSNSとしており、鍵をかけて特定の友人のみに公開していることを考えると、特に不思議ではない。

一方、TikTokの動画は全体公開だが、すべて美肌加工などしっかりと加工されている。理想的な顔に加工した動画であり、だからこそ全体公開にしていたと考えられる。

あくまでも推測だが、被害者が使用した写真は加工などしておらず、いわゆる“盛れて”いなかった可能性がある。一般論として、若者同士の場合、半目だったり油断した顔をしていたりなど、盛れていない写真を勝手に使われることでトラブルになることは少なくない。

個人を特定され逃げられず?

「ネット上の関係で因縁をつけられただけなら、被害者は加害者に会いに行かず、ブロックしたり、アカウントを消して逃げればよかったのでは」という意見もある。誹謗中傷などでは、このような行動が対策として推奨されていることもある。

今のSNSは、つながれば即、メッセージの送受信や通話などもできてしまう。実際、被害者は内田容疑者らからのメッセージや通話で脅迫を受けたと報道されている。

SNS利用と情報リテラシーについて大学で教えている筆者の感覚だが、学校名や顔写真、名前などをSNSで公開している学生は多い。所属などを明らかにしていなくても、過去の投稿から特定されることもある。そう考えると、ブロックしたりアカウントを消したりしただけでは逃げられないと思った可能性もある。

この事件の話ではないが、自分の写真を公開されても気にしない代わりに、他人の写真も気にせず公開するという人もいる。他人からのダイレクトメッセージやLINEなど非公開を前提に送られてきたものも、気にせず他人に転送してしまったり、Xなどに投稿してしまう人もいる。このような行為は、当然トラブルにつながりやすい。

他人の顔写真や個人情報などはけっして無断で公開せず、相手の許可を得られない場合はモザイクやスタンプなどで加工して投稿したほうがいいだろう。

万一トラブルになってしまった場合、自分だけで解決しようとせず、保護者や教員などの周囲の信頼できる大人に相談したり、相談機関などを利用したほうがよい。

若者にとってSNSは大切な居場所であり、自分のアイデンティティになっていることも多い。一方、人によって使い方や価値観は異なり、だからこそトラブルにつながりやすい面がある。トラブルになりやすい行動を知り、トラブルにあったときの対処法を覚え、対策することが重要だ。

高橋 暁子 成蹊大学客員教授/ITジャーナリスト

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たかはし あきこ / Akiko Takahashi

書籍、雑誌、Webメディアなどの記事の執筆、企業などのコンサルタント、講演、セミナーなどを手がける。 SNSなどのウェブサービスや、情報リテラシー教育などについて詳しい。元小学校教員。『ソーシャルメディア中毒』(幻冬舎)など著作多数。『あさイチ』 『クローズアップ現代+』などメディア出演多数。公式サイトはこちら
 

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