玄関の右手にある和室にはダンボールがいくつも積み上げられている。中は空だったり、細々としたモノが入っていたりするが、ガムテープでぐるぐると巻かれた無数のゴミだけが入ったダンボールが目を引いた。ガムテープで巻かれているゴミのほとんどは、カロリーメイトの空き箱。次にトイレットペーパーの芯が多かった。
キッチンにあるダイニングテーブル、ガスコンロ、冷蔵庫には使用の痕跡がまるでない。指で少しすくうだけで、ほこりがごっそり取れてしまうほど長年放置されているのだ。
前出の2つの和室もほこりだらけで、生活はもうひとつある3つ目の和室だけでほとんど完結していたみたいだ。ただ、そこにあるブラウン管のテレビ画面にもほこりがビッシリである。
小学校の中で起きていた「教師内いじめ」
両親からの依頼内容は、「すべての部屋を空にしてほしい」というものだった。
現場に入った4人のスタッフで、まずは主に生活をしていた部屋から片付けることになった。動線を確保するためにふすまを外そうとすると、ビリビリに破れたふすまに冒頭の文字がいくつも書かれていた。
「たすけて たすけて たすけて」
見積もりの際も、片付け当日も、現場に住人である娘の姿はない。女性に何があったのだろうか。二見氏が話す。
「僕らも娘さん本人には会えていないんですが、ご両親の話だと勤務先の学校で教師内いじめに遭っていたそうです。この部屋から学校に通われていたみたいなんですけど、途中からはもう仕事に行けなくなってしまい、ついには精神を病んで病院へ入院することになってしまったんです」(二見氏、以下同)
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