不思議なことに、足は重だるいものの、痛みなどはなかった。体調も悪くない。とはいえ、「何かよからぬことが起こっている」と感じた由美さん。その足の状態に夫も驚き、「すぐに病院に行ったほうがいいよ!」と受診を促した。
「急いで、歩いて5分ぐらいのところにある近所のクリニックに行きました。歩きにくい感じはありましたが、何とか1人で行くことはできました」と由美さん。
なぜこんなにむくんでしまったのか
「それにしても、なぜ、こんなに足がむくんでしまったのか……」
診察を待つまでの間、由美さんは考えをめぐらせると、1つだけ「もしかしたら」と思い当たることがあった。それは2週間ほど前、「溶連菌感染症」という病気にかかっていたという事実だ。
溶連菌感染症は、溶血性レンサ球菌(ようけつせいれんさきゅうきん)という細菌が主にのどに感染することにより、咽頭痛や発熱、体や手足の発疹などの症状を引き起こす病気だ。
この溶連菌が全身にまわり、手足の壊死(えし)から死に至る「人食いバクテリア」(劇症型溶血性レンサ球菌感染症)が、昨今では話題になっている。
「そのときは、のどに痛みがあったので、最初は風邪だと思っていたんです。でも数日のうちに急激に悪化し、焼けるように痛み出した。熱は39.5度まで上がりました」
のど全体が真っ赤で、つばを飲み込むのもつらかったという。
「仕事帰りに、会社近くのクリニックを受診したのですが、医師はのどを診るなり、『あー、溶連菌感染症だね』と、きっぱり言われました」(由美さん)