KDDI社長「au経済圏広げる」ための新戦略 明暗わかれた携帯各社、勝ち組auの秘密(上)

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――国際会計基準(IFRS)に移行した狙いは。のれん償却がなくなり、今期決算では280億円程度の営業益の押上げ要因になるが、業績計画達成のためではないか?

海外投資家にとって業績を比較しやすいというメリットもあるが、M&Aがやりやすくなることが大きい。年に一度は減損の可能性をチェックしなければならないが、のれん償却がなくなるので、M&Aを加速できる。今後は自社に足りないピースを埋めなければならない。今期の2ケタ営業増益のためというより、来期以降の成長に向けた準備の要素が大きい。

――M&Aや出資案件はあまり儲かっていない会社が多いように感じるが、投資の方針は?

早い段階から育てて着実に果実を得る社風だ。海外ではデータセンターを多数保有していて、ロンドンでは1990年に合弁企業をつくった。当時はデータセンターという言葉がなく、通信事業者の家という意味で「テレハウス」と言っていた。現在は同国のインターネットの中核となっている。歴史的に見ても、先を見て準備する文化だ。

必要な会社は買収していく

開業以来、赤字が続いているライフネット生命の出口治明会長。田中社長は”互いにメリットがある”と主張する(撮影:梅谷秀司)

最近はネット周辺のM&Aや出資が多い。シンドットのメンバーにはかなり投資したし、ライフネット生命保険にも投資した。子会社化するケースがあるのは、ボトムからシナジー効果を取り込めるからだ。単なる提携はリスクが少ない分、シナジーも小さい。必須な会社はできるだけ取り込むが、相手もあることなので、戦略に合わせて買収することになる。

グローバルはミャンマーで事業を展開している。すでに800万枚のSIMカードを販売した。たくさんの社員が現地に行っているが、まだまだ大変だ。日本と比べて知見が少ないので、身の丈にあったやり方で一歩ずつ確実にやっていかないと難しい。 

田邉 佳介 東洋経済 記者

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たなべ けいすけ / Keisuke Tanabe

2007年入社。流通業界や株式投資雑誌の編集部、モバイル、ネット、メディア、観光・ホテル、食品担当を経て、現在は物流や音楽業界を取材。

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