一部メディアが、加害者家族を苦しめている 加害者家族のプライバシーも保護されるべき

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内容も的外れです。医療少年院での「更生」の過程はすっぽりと省略され、その前後が詳しく記載されているなど、教訓的なことは何も伝わってきません。出所後に転々とする生活が、詳細ないし冗長に書かれていますが、内容に乏しく、そこに一端の小説家を気取った人物描写や状況描写が、あたかも自分を村上春樹氏の小説の主人公と錯覚しているのでは、という文体で長々と続きます。

Aに文才があるなどと評価する人がいるようです。「村上春樹氏のまねをしてうまい表現できるところをアピールしたい」という気持ちが強く伝わってくる文体ですが、本質を覆い隠すための文章という気がします。借り物じみた表現が多く、見せかけの文才はありますが、本当の文才はありません。

しかし今後、Aを利用して続編を書かせたり、映像化して儲けようと企む者が出るかもしれません。最近、猫の猟奇殺害事件がまたありましたが、模倣犯が出る可能性が大きいと感じます。現在、「サムの息子法」が話題になっていますが、日本でも「淳くん・彩花さん法」で、凶悪事件犯罪被害者遺族の同意なき加害者による手記の出版禁止、出版社および著者の利益が被害者家族に全額支払われる規定がなされなければなりません。

そしてもうひとつ、この凶悪殺人事件をめぐる法律に付け加えたいのが、冒頭で触れた「加害者家族の権利保護」です。

加害者家族のプライバシーも保護されるべき

2008年の秋葉原事件の犯人・加藤智大の弟が、事件の6年後の2014年に自殺しました。マスコミがしつこく嗅ぎつけて、職を転々としていたそうです。そんな中、彼にも彼女ができました。素性を明かしたところ、彼女の親から反対されました。何かでカッとなったとき、彼女に「あなたの一族全体が異常だ」と言われたそうです。6年も経っているのに、これからもずっと犯人の弟として生きる重圧に絶望したのかもしれません。「死ぬ理由に勝る、生きる理由がない」という言葉を残しました。

もちろん被害者の遺族の苦しみは計り知れませんし、そのプライバシーが侵害されているのも問題です。同時に加害者の兄弟や親戚まで追いつめる「取材」にも、憤りを覚えます。

加害者とその家族は別だという社会的な合意が徹底され、加害者家族のプライバシーも保護されるのは当然だという社会になることを願ってやみません。皆様は、どのように考えられますか。

ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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