愛するわが子が「お荷物」になってしまう日 負担は共働き夫婦の妻ばかりに
「37.5℃の壁」が想定外の初歩レベルだとすると、最高レベルは「毒親」だ。児童虐待とか育児放棄などは最近一般的に知られているが、実は親の立場から「自分の子どもを好きになれない」「愛せない」「どう接していいかわからない」と悩んでいる人は多い。
保育園の先生の中にもよく親から相談を持ちかけられるという方が多くいる。でも、それは親がおかしいわけではなく、心理学的には「親子にも相性があるから、合わないことがあって当然」と考えるのだそうだ。
「なぜ、愛せないのか」という理由や原因はわからない、と心理学者の先生も話していたが、このケース、特に母親たちにとっては、世間が作っている“母性神話”“親子神話”がキーになっている気がする。
「女性にはもともと母性が備わっているものだ」とか「子どもを産めば自然に子どもの世話をしたくなる」といった、いまだに半分常識のようにいわれていることの外圧が、母親を苦しめたり、「私はダメな母親だ」という罪悪感を植え付けてしまったりしていることもあるのではないか。
どうして毒親になってしまうのか
毒親をもう少し詳しく解説しよう。「子どもにとって“毒”になる親のこと」だ。自分の価値観を押し付ける、抑圧する、育児放棄する、暴力を振るう、兄弟間差別を行う、など色々なケースがある。毒母になってしまう心理的な背景には、経済的な余裕のなさ、育児の悩みを誰にも相談出来ない、自身が子どもの頃に受けていた虐待経験、などのほか、子どもの特性によるものもある。
子どもの特性とは、離婚した夫に子どもの顔が似ていて可愛く思えない、子どもの聞き分けが悪くなかなか言うことを聞かない、など。一般的に、自分が毒親であるという自覚がないことがほとんどである。
『37.5℃の涙』の原作漫画で、共働き夫婦の夫が、子育てへの参加の仕方がわからなくて、結局は妻ひとりが大変になる、という話がある。このケースでは、そもそもたったひとりで子育てなんかできるわけはないのに、子どもの世話を完璧に見ることができないことで自分を責めてしまい、その結果、子どものことをさらにお荷物に感じてしまう、悪循環が描かれている。
この話の結論は、妻に子どもを預けることが前提になってしまっている夫に「その前提はおかしい」と怒っても現実には何も解決しないから、夫を褒めたりおだてたりして上手く使う、という方向にもっていっていて面白い。
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