パスコ超熟「60ミリの子ネズミ混入」対応の成否 誠実ゆえに、消費者に過度の想像をさせた
誠実すぎたゆえに、逆効果になりかねない今回の事案だが、ではどうすれば回避できたのだろう。例えば、「クマネズミの子ども」ではなく「げっ歯類の一種」といった表現であれば、まだ想像をかき立てずに済んだのではないか。
今回、SNS上では「クマネズミを画像検索した」との反応も見られた。調べやすくなったからこそ、より嫌悪感が増した消費者も少なくないだろう。先ほどの「記憶の想起」と通底する話だが、発表文や各社報道によると、異物の正体は5月8日時点でわかっていたのだから、その時点で伝えていれば、リカバリーも早かったと思われる。
「60ミリ」より「6センチ」表記のほうが良かった?
また「60ミリ」は「6センチ」に書き換えるだけでも、ちょっと小さめな印象を覚えないだろうか。よく冗談話で引き合いに出されるが、栄養ドリンクに含まれる「1000ミリグラム」の栄養素は、わずか「1グラム」にすぎないが、大量に配合されているように感じてしまう。その反対のパターンだ。
これまで見てきたように、企業が不祥事対応する際には、そのタイミングと表現も、しっかり見極めたうえで対応する必要がある。誠実であるに越したことはないが、「受け手がどう考えるか」と、一瞬立ち止まって思いをめぐらせることも重要なのだろう。
時には「社内や業界内、関係官庁向けの発表文」と「一般消費者向けの発表文」を出し分けるのも効果的かもしれない。今後に向けて、もっとも大切なのは、愛用している消費者に「食べても安心だ」と感じさせること。その観点から考えると、過度な不安を招いた消費者に対しては、より気持ちを解きほぐすような追加対応が必要なのかもしれない。
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