パスコ超熟「60ミリの子ネズミ混入」対応の成否 誠実ゆえに、消費者に過度の想像をさせた

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回収対象となったのは、約10万4000個。開封や喫食済みでも問題なく、ウェブ申し込みと着払いにより、商品と包装紙(もしくは包装紙のみ)を受け付け、商品代金の代わりに、後日クオカードを送付するという。

(敷島製パンHPより)

発表を受けて報道各社が伝え、異物の詳細についても、翌8日には「クマネズミと判明した」と報じられた。そして2週間後の5月21日、敷島製パンは「お詫びと経過のご報告」と題して、7日の初報以降の経緯を説明した。

それによると、8日に「有害生物防除の専門事業者による鑑定の結果、異物はクマネズミの子ども(約60mm)であることが判明」した。なお、7日時点で「4月末時点の定期点検ではなかった新たな巣穴が工場外部で確認」されていたという。

(敷島製パンHPより)

また4月末にかけての1年間、専門事業者による定期検査をした結果として、「捕獲・活動の痕跡が見られなかったことから、工場内部で長期的に生息していた可能性は低く、工場外部にできた巣穴を拠点に侵入し、焼成前の生地に混入したものと推定されますが、詳細については継続して調査中です」などと追加で報告した。

なお自主回収対象に該当するサンプル品の細菌検査をしたところ、「いずれも一般生菌数は弊社基準値内であり、食中毒の原因となるような菌(大腸菌群・大腸菌・黄色ブドウ球菌・サルモネラ属菌)は未検出」だったとし、混入が申し出られた商品についても同様だったという。

続報がより嫌悪感を招いた

今回の混入事案をめぐっては、初報段階からSNS上でも話題になった。とくに衛生面に対する指摘が多く、「どんな小動物が入ったのか」などと心配の声が多数上がっていた。しかし続報が出てから、より「キツいな」といった反応は増している。

続報ではモニタリング強化や、超音波発信機の設置など、具体的な再発防止策も挙げられている。本来ならば、消費者が安心するはずのアナウンスなのだが、なぜか今回は、むしろ嫌悪感を招いているように見える。その理由を考えてみると、2つの可能性が見えてきた。

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