【産業天気図・造船】受注残豊富で選別受注を強化。ただ業績の本格回復は07年度以降

造船ブームが続いている。前期は世界の安全基準強化を前に駆け込み発注があり、佐世保重工業<7007.東証>では対前期比68%増、石川島播磨重工業<7013.東証>も52%増など、急増した社もある。駆け込み発注の反動や受注抑制で今07年3月期の受注は大きく落ち込むと予想する社が多いが、手持ち工事は3~4年分抱えており、各社とも余裕の表情だ。このため、それぞれ選別受注の姿勢を強めており、コンテナ、LNG、タンカー、バルクキャリア(バラ積み貨物船)などの中でも好採算船へ、さらに最近は為替の影響を回避するため円建て船の受注へと特化している。また、住友重機械工業<6302.東証>のように、10万トンのアフラマックスタイプのタンカーに絞り込んで量産効果を狙うなど、あの手この手で収益向上策を進めている。
 ただ、豊富な受注残を抱えて建造工事はフル生産状態にあるものの、現在建造中の船は受注が低迷した過当競争時代に取ったもので、採算的には良くない。鋼材価格の急騰や人手不足による外注費の上昇などコストアップの直撃もあり、赤字が続いている。今07年3月期も営業損益段階では赤字か収支トントンを予想しているところが多い。しかし、この予想は赤字工事引当金を前期に計上した後でのもの。販管費を考慮すれば、さらに赤字が残る計算になる。最近の高船価の受注工事が売り上げに立ち、収益に本格的に寄与してくるのは08年3月期以降となる見通し。現時点では、かなりの収益が期待できる可能性が高いが、とはいえ鋼材値上がりや外注費の上昇、円高などが収益を圧迫するリスクもあるだけに、名実ともに「造船ブーム」を満喫できるか、必ずしも楽観はできないと言えそうだ。
【田中房弘記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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