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黒子役の三菱食品が「世界一の調整役」目指すワケ 「質への転換」を加速し、業績は順調拡大

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京谷裕/きょうや・ゆたか 1962年生まれ。1984年早稲田大学商学部卒業、三菱商事入社(油脂部)。2013年農水産本部長、2016年常務執行役員 生活産業グループCEO、2019年同コンシューマー産業グループCEOを経て、2021年から三菱食品社長(撮影:梅谷秀司)
食品卸大手・三菱食品の業績が改善している。経常利益は2020年度169億円から2023年度に314億円まで拡大。5月には2030年度経常利益500億円を目指す中期計画を発表した。コロナ禍で食品卸はどう変わったのか。京谷裕社長に聞いた。

 

――経営を取り巻く環境が大きく変わっています。

外部要因から言うと、地政学リスクや気候変動要因、さらに円安と、さまざまなコストアップ要因が重なり、「値上げをしないと生き残れない」という危機感が生まれた。そこにコロナ禍で、「食品のサプライチェーンをいかに維持するか」との現実問題が重なった。今の「物流2024年問題」も同じ。リアルのインフラを維持するためには、適正な料金を払う必要があるという認識が広がった。

内部要因も大きい。2021年の社長就任以来、「量から質への転換」を掲げた。卸はどうしても売り上げ至上主義に陥りがち。しかし、日本の人口はこれからどんどん減っていく。当時は業績が低迷しており、思い切った手を打たないといけないという思いもあった。

そこで進めたのは、赤字取引をやめること。ただ、単に値上げをお願いするだけでなく、お客様にとって必要な機能をセットで提案するようにした。その結果、失った取引も一部にはあったが、多くのお客様との関係性が深まり、社内で言う「粘着性」のある取引が増えた。

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