今の時期はご用心「カラス襲撃」から身を守る方法 人を襲う理由や習性について鳥類学者が解説

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Aさんの場合、早朝の散歩道で、たまたま木の根元にカラスのヒナが落ちているのに気づいた。その瞬間、大人のカラスに襲われたという。約30分後、Aさんは散歩からの帰りに再び“現場”を通った。すると、また同じ目に遭ったそうだ。

なぜカラスは人を攻撃するのか。鳥類学者、樋口広芳東大名誉教授によると、カラスが人を攻撃するのは主に5月から6月。繁殖の時期にあたり、子どもを守ろうと、親ガラスの警戒心が高まっているからだという。

「巣に卵やヒナがいるとき、あるいは巣からヒナが出てしまって、道路の上や植え込みの中などにいるとき、人がそばを通っただけでも親ガラスはパニックになり、襲ってくるのです。Aさんが攻撃されたのはこのケースです」(樋口さん)

都会のカラスは通常、木の上や電柱などに3月ごろから巣づくりを始め、繁殖期を迎える。5月ごろにヒナが生まれ、約1カ月で巣立つが、そのあとも約1カ月間、子ガラスは親ガラスの世話になり、やがて独立する。ここまでが繁殖期。したがって、非繁殖期である10月から2月は「人を襲うことは珍しい」と樋口さんは言う。

人を襲う「理由」がある

では、筆者が2月に襲われた理由は何か。実をいうと同じ公園で、昨年10月にも別の女性が襲われている。彼女も何かした覚えはない。でも、樋口さんは「カラスは理由もなく襲うことはないので、必ず何か理由があるはず」と断言する。

例えば、筆者らが襲われる前に誰かがカラスに向かって棒を振り回したり、石を投げたり、あるいは近くで工事が行われていて、人がたくさん動き回っていたりと、カラスにしてみると何か嫌がらせと感じるようなことが起きている場合。カラスはそれらの行為を行った人間を“敵”と認識し、“代理”で別の人間を攻撃することがあるというのだ。

おそらく、誰かがカラスの嫌がることを何かしていたに違いない、と筆者は思っている。

故意に巣に近づいたり、路上にいるヒナに触ろうとしたりすれば当然攻撃されるが、たまたま巣やヒナに接近してしまって襲われることもある。これらを防ぐためにはどうすればいいだろう。

樋口さんによると、その対策としては、「帽子を被ったり、日傘を差したりすること」が挙げられるという。帽子も傘もない場合は、両腕をバンザイのように垂直に上げることも有効だそう。カラスはつばさが何かに触れることを嫌うため、「障害物」があれば攻撃してこない。

「突然襲われたときは、びっくりしてあわてて立ち去ろうとすると思いますが、それはしないほうがいいです。意外と転んでケガをするケースが多いんです。襲われても動き回ったりせずに、落ち着くことが大切です」(樋口さん)

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