ドル基軸通貨体制は終焉、通貨無極時代に~米国債格下げが意味するもの--浜矩子・同志社大学大学院ビジネス研究科教授


「21世紀のプラザ合意」でグローバル時代にふさわしい新たな枠組みづくりを

--そうすると、いまの危機に世界はどのように対処するべきなのでしょうか。

21世紀のプラザ合意とも呼ぶべき枠組みで合意することだ。基軸通貨ドルの安楽死、分相応な立場にソフトランディングさせるということだ。皆で役割を分担して、「自分さえ良ければ」ではなく、協調して秩序あるドル安、管理できるドル安を実現する。
 
 プラザ合意で決まったことは非常にまともだった。ところが蓋を開けてみると、各国が「自分さえよければ」という姿勢で、動いた。今度はそうならないように「プラザ合意を超えるプラザ合意」を実現しなければならない。

--著書で「基軸通貨なき時代」に入ったとしていますね。

これだけグローバル化が進んで、ヒト・モノ・カネが世界中に動いていく。とくに、カネは「すっ飛んで行ってしまう」時代だ。こうした時代には、もはやいままでのように、通貨を集約し、一つの通貨が覇権を握るやり方は機能しない。
 
 20世紀は通貨集約の時代であったが、21世紀は通貨多極でもなくて、通貨無極時代だ。分散と多様化の力学が働き、地域通貨が求められてくるのではないか。国の数よりも通貨の数が少なくなった時代から、国の数よりも通貨の数が増える時代だ。

--ユーロはどのような方向に向かうのでしょうか。

グローバル化時代に入る前に、ユーロの設計図は作られている。集約の論理でできており、グローバル化時代と相性が悪い。分散化、多様化を図るべきだ。
 
 具体的には、統合欧州の中をいくつかのディビジョンに分けて、財政に苦しいところはマイナーリーグに落ちて、調整するような仕組みが必要だ。
 
 実際に、既にひとつの金利は成り立たなくなっている。ギリシャの金利水準はドイツの金利水準から遠ざかっている。こういうことを認識して、新たな進化を考えるべきだ。ユーロ安によって調整されるというのは一時的なことだ。

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