ファンド語る「ブラザー工業とのTOB競争」の意義 ローランドDGのMBO、主役の一人がタイヨウCEO

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私は早い段階で検討メンバーから外れたが、取締役会はすぐに真摯な検討を始め、ローランドDGとその株主にとって何がベストかを複数の選択肢から議論したと理解している。その結果、われわれのMBO提案が企業価値と株主共同の利益の両方に優れていると取締役会は判断したのだと、考えている。

ディスシナジーの詳細などかなりの開示が今回なされたことは、日本の資本市場にとってプラスであり、経産省指針の成果だと思う。

――経産省の指針は日本企業にさらなる影響を与えると思いますか。

日本の資本市場がより効率的なものになるきっかけになると思う。そうでないと日本の競争力が失われると心配している。

今の日本はアメリカの1980年代の状況に近い。アメリカの市場の歴史を振り返れば、1960年代に多くの合併買収があり、コングロマリットのような巨大企業が出現した。しかしそれらの企業は次第に経営が非効率となった。その状態を変えるため、1980年代に敵対的買収をやり始めた。

この時代には「敵対的買収がたくさんあった」というイメージがあるが、実はそうでもない。マーケットが活発化していく中で自発的な合併買収が増えた。日本も最初は敵対的な買収からだろうが、その後のフェーズではいろんな会社が自発的に合併買収を積極化していくのではないか。

YFOが資金面でサポート

――タイヨウも任天堂創業家の資産運用会社であるヤマウチ・ナンバーテン・ファミリー・オフィス(YFO)に買収されました。

YFOは過去にはアメリカのビッグテック企業に投資していたが、2019年ころから日本市場に参加する方法を探していた。「敵対的な提案はせず、日本の企業をサポートしたい」というビジョンがタイヨウと一致していた。タイヨウの手法を学びたい、ということで買収に至った。

ローランドDGの件もYFOがいなかったらやりにくかったと思う。MBOを行うとなると短期で資金を集めないといけないが、YFOと一緒だったので助かった。

日本は海外からは入りづらいマーケットですよ。文化や言葉、会議中に居眠りしているおじさんをどう理解すればいいのかとか(笑)。われわれは日本のことを深く理解しているコンビ。今後はYFOと協力した案件が増えるだろう。

吉野 月華 東洋経済 記者

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よしの・つきか / Tsukika Yoshino

精密業界を担当。大学では地理学を専攻し、微地形について研究。大学院ではミャンマーに留学し、土地収用について研究。広島出身のさそり座。夕陽と星空が好き。

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