加えて、客室タイプごとに、備品の設置場所や清掃手順を記したマニュアルもある。その内容は、「シャンプーとリンス容器は洗った後、この順番に並べる」「ハンガーは拭いてから、右の壁側に寄せる」など具体的だ。そのため、清掃スタッフが誰であっても、地域によっては多い外国人スタッフであっても、同クオリティの清潔を担保しやすい。
さらにマニュアルには、清掃漏れを防ぐインスペクション(視認)について、「どこをどう見るべきか」の記載も詳しくなされている。斎藤氏は、「冷蔵庫の裏など目立たないところまで確認し、汚れていてがっかりされない仕上がりを目指しています」と語る。
清掃はサービスの一丁目一番地
一方で清潔の維持には、1ホテルに13~14人、スタッフの約8割に及ぶ社員比率と、教育体制も大きく関係している。社員向けの清掃研修が定期的に行われ、新入社員にも、「サービスの一丁目一番地」と定めて最初に清掃教育を実施しているという。そのひとつで象徴的なのが、客室清掃の検収と、宿泊をしてみる研修だ。
【2024年5月16日13時35分追記】初出時、研修の内容などに誤りがあり、一部文言を修正しました。
研修の狙いについて斎藤氏は、「汚れたリネンを剥がしたり、水を含んで重くなったタオルを運ぶことで、清掃の大変さを実感してもらえます。現場に出たとき、その経験を持って清掃スタッフと話すことで理解しあえ、具体的な改善策も生み出せるのです」と説明する。
つまり、社員が清掃を「自分ごと化」して考えられるようにしているのだ。
加えて、2024年からは社員に等級を設け、ステージごとの育成プログラムをスタートしている。
プログラムには、経営理念のトップに掲げる「お客さま満足の向上」と、「7essence」と呼ばれる行動指針を落とし込み、「誰が何をやるのか」「どうステップアップしていけば昇進できるのか」など、業務に取り組む姿勢と考え方をより具体的に教えている。そしてその中でも、清掃への比重は重いそうだ。
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